Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年10月31日(日) |
アンビエント・リサーチ@マイ・タワー・クラブ |
オブスキュアー・レーベルのアナログを輸入盤屋でよろこんでいたのは20代だったしなー。
アンビエントってどういう音楽なのか、レコード屋の仕切り箱に入れられたものはすべて田舎の呼び込みババアの「遊んでかない?」というようなクズな音楽だった時代しか知らない。
ノイスはノイズだしなー。フィールド・レコーディングも同様。ビルの建物にマイクを埋めてただ録音したもの、マイクを注射針の先につけて刺す音を録音したもの、胎児が聴く音、パチンコ屋の入り口でずっと聴いていたこと、それらの素材をいじって長く重ねたもの、・・・ううむ。メルツバウを蒐集しようとしたら「毎日新譜が入荷しますぜ、だんな」と店主に言われて諦めたこともあったか。エクスペリメンタルという箱も多彩だったっけ。
そもそもどうやって気持ちよくなろうか、という、おのれの走性の行き先としてしか音楽はないような、ハエの耳にとって、ディストピア・アンビエントというものがどのような理路によって輪郭が与えられるのか、与えられたとたんに「その魅惑」によって対象はにげ水のようになるだろう。理路を与える意識そのものに快楽は仕込まれている。
アンビエント・リサーチに出かけた。
住所のあたりに建物がないではないか?とガード下に目をやると、そこが会場だった。東京芸術大学が廃屋になったようなガード下の2階建てのスペース全体を借り受けての自由空間。学園祭の即席プレハブのかたちなのに、建物に年季が入ってもいるもので、すぐに「おー、今は戦時中なのか」「ここがアジールというものか」とうっとりとし始める。そもそもわたしはおめでたく出来ているようだ。
理科の実験室のような平台があるだけ。そこに2・3の機材。ダイヤトーンのスピーカー。ガード下だから電車が通るたびにガーガー楽しい音と振動が起こる。たびたびブレーカーが落ちる。薄暗いなか、秘密結社の愉しみのようだ。話者がショッカーの首領たちに見える。ノイズも現代音楽も心象風景化して享受していることにかけては右に出るものがいないおいらは、断罪されているのだろうか。
金子さんがテープでかけた音楽は初めて聴いたものだけど、すでに耳慣れた(分類された)ものとして「懐かしいというか、たまにはこういうのもいいなあ」と思うのと同時に、ふと、「これが外界から突如侵入してきた音だったならば心臓が止まりそうになるよなー!」と思った。つまり録音されたもの、は、それだけで絶対安全カミソリなのである。
3にんの子どもをそれぞれ別の機会で同じ深夜にスカイツリーの足元にある側道、業平2丁目19と22のT字に行ったことになる。この巨大な建造物を見上げると、意識がキーンとしてきて(トシで頚椎が圧迫されただけだ!)、音にならない音がしているような、圧倒的、と言えば圧倒的?なのだけど、やー、すごい、やー、すごい、じきに無言で見上げ続けるばかりになる、誰もいない奇妙で魅惑的な空間。
そういえば、山も、音をたてている気がすることがある。
浅草の蛇骨湯、お湯もじつにいいが、電気風呂の電気の強力さは背中を近づけただけで両肩が震えだすような凄さで、体質に合うひとにはおススメだ。
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