Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年03月19日(金) |
アンサンブル・ノマド第37回定期演奏会 |
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アンサンブル・ノマド第37回定期演奏会 時代を創造するパイオニアたちVol.3 〜クロードの夢:クロード・ヴィヴィエ特集〜 2010年3月19日(金) 東京オペラシティ・リサイタルホール
ギターのために(1975) Pour guitare サマルカンド(1981) Samarkand シラーズ(1977) Shiraz ボカラ(1981) Bouchara 神々の島(1977) Pulau Dewata
クロード・ヴィヴィエのコンポジションに内在する狂気を聴いたのはつい昨日のようだった(■)けど、2年も経つのか・・・。同じ場所でのヴィヴィエ特集に出かけた。
演奏者で素晴らしかったのはホルンの萩原顕彰、ソプラノの吉川真澄、フルートの木ノ脇道元かな。2曲目「サマルカンド」はピアノのほかは5管(フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン)で、この5管のズレ・揺らぎがじつに良かった。だけども、どこかヴィヴィエにとってはミニマル・ミュージックの応用といった余技にも感じられる。4曲目「ボカラ」はそれを拡大した作風で、ソプラノの吉川の揺るがない丁寧な声のトーンが作品全体に一本のラインをひいた。打楽器の効果も面白かったが、曲のおしまいにはテープ音響が現れてはっとさせられた。
わたしが2年前に聴いたヴィヴィエは2人もしくは3人の演奏者による作品で、そこで聴いた旋律のギリギリの葛藤というか、古典的な楽想から破綻しそうになる美しいたゆみ、が、聴きものだった記憶がある。今日のコンサートで聴こえたヴィヴィエは、B級の現代音楽作曲家としての資質だけだった気がする。ガムランの現代音楽的応用である「神々の島」も演奏としては楽しめたけれども、これはヴィヴィエでなければならない作曲ではない。ピアノ独奏の「シラーズ」は、おそらく複数の時間のラインが作品にはあるように輪郭を把握したが、譜面を乗り切るだけであったように思う。
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