Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2008年12月14日(日) |
『The Remedy: Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel Group』 |
(CD評)
『The Remedy: Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel Group』 ArtistShare (2008)
Kurt Rosenwinkel(G), Mark Turner(Ts), Aaron Goldberg(P), Joe Martin(B), Eric Harland(Ds)
DISK1 1 Chords 16:21 2 Remedy 11:37 3 Flute 14:23 4 A Life Unfolds 17:54
DISK2 1 View From Moscow 12:51 2 Terra Nova 11:42 3 Safe Corners 17:10 4 Myrons World 19:13
さあ、がんばろうぜ、みやもとひろじの歌声にのる。春先のある日のディスク・ユニオン新宿店午後7時、おれはジャズのライブ盤が店頭で流れているのをずっと聴いていたのだった。カートのヴィレッジ・ヴァンガード・ライブ2枚組だ。モチアントリオ2000+2のヴィレッジ・ヴァンガード・ライブVol.2(マット・マネリまで参加してんぞ!)、それにブラッド・メルドー・トリオのヴィレッジ・ヴァンガード・ライブ2枚組、と、3種を並べて品評してみたい誘惑に駆られる。・・・つうか、ジャズのジャーナリズムはふつーそうやって話題を盛り上げるだろうが。マガジンのクロスレビュー形式のページを作って。いかんせん、カートのこの2枚組はartistShareという強力な新興レーベルからのリリースで、ネット配信にも長けており、CDの価格も20ドル程度という展開をしている。あ、なんだすでに本盤はグラミーにノミネートされているのか。で、国内盤になっていない。メルドーの2枚組もノンサッチ・レーベルからのリリース(日本配給権たしかワーナー)なのに、国内盤になっていない(あ、こっちは15ドルで買えるみたいだ)。モチアントリオ2000+2のほうはボンバ・レコードから国内盤が出ている、が、ボンバは雑誌広告媒体をあてにしていない(意味わかるね)。したがって商業誌にこの3種が並べて議論されることはないのは自明なのであった。はー。何かいてんだろね。おれはいんだよ、自分でできるから。だけどこれからジャズを聴いてみたい若者、とくに美少女、には、この場をかりてリアルジャズ歴25年のおいらが老爺心ながら下心まんまんで書いておきたいのだ。
カートのヴィレッジヴァンガード2枚組(本作) ローゼンウィンクルといえばターナー、ターナーといえばローゼンウィンクルである。双頭クインテット。2006年1月のライブ。すべて11分から20分ちかくのトラックで計8曲収録。いい感じでだらだら熱気を熟成させるジャムバンドの感覚もロックの感覚アリのまごうことなきジャズ・ライブ。70年代にアイヒャーはブレイキーのジャズは要らないと言ったが、00年代においらは新伝承派は要らないと言える。サックス奏者として今さらながらジョー・ロヴァーノの影響の大きさである。ロヴァーノのトーンがターナーを生んだ。これまでターナーの録音でいまいちなものばかり聴かされてきたが、CD1の1曲目のターナーのソロは3つ星半だ。2曲目のターナーのソロは4つ星だ。で、4曲目のターナーのソロはほとんど5つ星に近い4つ星半だ。4曲目の6分28秒から9分39秒までの、このだらけた巨大なきんたまぶくろがずるずるバスロープをはいずりまわるようなソロを聴いてみてくれ。鼻血が出そうだ。あほ過ぎる。美しすぎる。諸君、これが現代ジャズだ。
・・・続けて、モチアントリオ2000+2とメルドーを書こうと思ったが、これでおしまい。おれが昨年、年間ベストに挙げた『Ferenc Nemeth/Night Songs』もターナーが吹いていたが、そろそろターナーもいい録音が出始めたということだ。artistShareという新興レーベルはたいしたものだ(みんなウェブで確かめてね)。
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