Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2007年09月26日(水) |
ステファン・ウインターは宣言している |
タイムリーを逸するのはわたしのトレードマークである。ヤコブ・ヤングのライブもメセニー=メルドーのライブも行けないのー。 モチアン・トリオ2000のヴィレッジヴァンガード・ライブを国内盤(ボンバ・レコード)で入手したのは7月20日■で、「おおお!」と思っていたんだけど、 せんたくせんざいの裏っかわに落っこちたまま行方不明になっていたというか、買ったことも忘れてて、さっき見つけてあわてて作文するのさ。
「ヴィレッジ・ヴァンガードでのポール・モチアンTrio2000+Twoによる忘れられない一週間のライブの模様を記録している。」 ステファン・ウインター自身のライナーだ。 「ウインター&ウインターはこの一週間にアルバム三枚分を録音した。」
「音楽はいつも生まれる時と場所に深く関わっている。17世紀のような非凡な時代とヴェネツィアのような特別な場所が独創的な芸術の生まれるきっかけとなる。アントニオ・ヴィヴァルディの活気溢れ、間違えようのないバロック音楽は、その時と場所の非凡な組み合わせなくして存在しなかっただろう。人種のるつぼニューヨークと20世紀とくればジャズ。そしてニューヨークの中心にあるヴィレッジ・ヴァンガードはこの音楽の最重要機関のひとつである。・・・」
この、プロデューサーとして自信溢れる記述に、ジャズファンも酔いしれようではありませんか。
(あれ、なんかへんな文体だし)
いやー、じつにいいライブだ。聴きながら、よだれが出まくってるし。至福である。
ただし。みんなに言っておきたいのは、『Paul Motian Trio 2000+One / On Broadway Vol. 4 or the paradox of continuity』Winter&Winter 2006■、これが、奇跡的、かつ、決定的に、音楽が生成する瞬間に満ちた録音であったこと、歴史的なものだとおれは捉える。おれの耳の感性を賭して言い切る。
こういうふうに手をぎゅっとにぎって確信が持てて、日記を書いているわたしは幸福である。
ECMレーベルをコンプリートするわたしは、次なる完全聴破ターゲットをハットハット(ハットロジー)にしてみたり、ウインター&ウインターにしてみたり、スクリューガン、サブローザ、英レオ、クリプトグラモフォン、サースティイヤー(ブルーシリーズ)、ブハーストにしてみたり、しているうちに、いわゆる日本銀行券という実質レコード交換券を十分に手に入れられないままに、むだに年をとってしまった。 そいえば、ツァディックも集めようと思ったこともあったのだ。
おれは幼稚園のときに牛乳のフタを集めた。 メーカー別、日付別に。 コンプリートに向かう使命感。 牛乳が発明された日からの完全コンプリートに向かう途方もない陶酔。 一枚一枚をいつくしむように眺めては指でなでて並べてみる。 年少のがきをつかまえて「おまえんちにある牛乳のふたを集めてぜんぶもってこい!」と5さいでおぼえた恐喝。 幼稚園中に有名になったコレクターまーくんは母親に叱られまくるが知るかそんなもん。 ある日、親切なおばさんが牛乳屋のゴミ箱から袋いっぱいの牛乳のフタをおれにくれた。べたついたへんなにおいがする牛乳のフタの塊り。 おれはなぜか、泣きたい気持ちになった。 あの、世界が腐って壊れてしまう感じ、を、おれは求めてCDを聴いているだけなのかもしれない。
何書いてんだか・・・。
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