Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年11月03日(水) |
ブライアンウイルソンのスマイル・ライブ |
地上とは思い出ならずや という稲垣足穂の名言を知ったのは、とても辛かった頃でしたが。
ひかりの中にあなたが映っていたこと 記憶し続けること
昼間は凶々しい 月に照らされた時間にはいつもサーカスがやっているような気がして、だからかな、夜行性だし。
ブライアンウイルソンのスマイル・ライブは、サーカスなのかな
ぼくが3さいくらいの頃、は、北海道の炭鉱の町に住んでいたのだけど、父親がディズニーの映画(たぶん)を観せに連れて行ってくれていたことを唐突に思い出した。「ほら、寝ないで、観な」と(たぶん)言われながら、ダンボとか白雪姫とか(たぶん)を観るのだけど、ぼくはいつもすぐに眠ってしまって、決まって目が醒めるのが映画館からの帰りに父親に背負われて揺られている頃になった。「どんなお話だった」とぼくは執拗にきいたような気がする。父親はやれやれという心境だったことだろう。ぼくは父親が断片的に、たぶん面倒くさそうに話す言葉、その父親の言葉を背中にいて聴いていることが、実はいちばんの楽しみだったのかもしれない。
ブライアンウイルソンのスマイル・ライブはそんな音楽だった。
『ペットサウンズ』の犬の遠吠えは『サージェントペパーズ』の「グッドモーニング」の動物たちの騒音に継承されている。 ビートルズが後期の黄金時代に拓いた地平は英国文化の粋によって核心が規定されていた。 そこには“むせかるような腐敗の匂い”や“しくじりの甘美”や“月に照らされた時間”がない。“せきたて”と“狂気”がない。 ビートルズは昼間の音楽だったようだ。 スマイルライブの会場で61さいのポールマッカートニーは思ったことだろう。「ぼくたち4にんはここに来たかったんだ」。
星条旗に包まれた死体について、内田樹さん>■ 「ワニのいる川って、どんな感じがするんだろう」と思って泳ぎにいったらワニに食べられた人の旺盛な好奇心に対する敬意、とは、そだね。
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