Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年06月28日(月) |
ポール・モチアンのライナー |
昨日の「ECMファンがきらいだ」という作文は伊武雅刀の「子供達を責めないで」の趣向替えですので、ご注意。 朝日ジャーナルと世界とフールズメイトを読んでいた21歳と、文藝春秋とen-taxiと競馬ブックを読む42歳と、おなじわし。
わたしが初めてLP国内盤のライナーを執筆したのは、大村幸則さんに向かって「大村さん、ビル・フリーゼルに似てるー!」と言った、まだ、ビル・フリーゼルがECMからヤン・ガルバレク・グループの一員として『Wayfarer』で突き抜けたり、エバーハルト・ウエーバーのこれを聴かずんばECM美を得ずと伝えられている『Fluid Rustle』やライル・メイズらが参加した孤高の一品『Later That Evening』に彩りを添えていたり、リーダー作『In Line』を出したばかり、の、時期に、そう言っていたのであるから、ほほえましくコアな名指しだったわけですが、その大村さんが「ただくん、これ、ライナー書いて!」と逆襲を受けたのが、そ、そのビル・フリーゼルが参加している
ポール・モチアンの『It Should've Happened A Long Time Ago』
だったわけである。モチアン、フリーゼル、サックスが無名のジョー・ロヴァーノ、というトリオですよ。1984年に、ですよ。この3人の組み合わせ、の、その後の重要度、まさにニューヨークジャズシーンの演奏モードを変えた、と断言していい、そういうものです。当時、それを認識し得たひとは居なかったです。わたしも認識してなかった。
おととし2002年、ポール・モチアンの『Holiday for strings』(Winter&Winter)のライナーをボンバレコードの金沢さんに依頼されたとき、わたしはこの作品をライナー書かずとも年間ベストに挙げる確信を得ていたもので(ほとんど同着で鼻差でミシェル・ドネダ〜斎藤徹『Spring Road 01』をトップに挙げたが・・・)、歴史の必然というものを感じた。ああ、なるほど、ぼくがライナーを書く最初と最後がモチアンで、いずれもジャズ史に無視し難い痕跡を残す作品であり、それぞれ信頼すべきひとに頼まれたことに、ぼくはほんとうにありがたいと思った。もちろん、それでなんとか満足できるライナーを書けたし、ぼくはぼくの持っている分を果たしたと納得できた。ほんと、『Holiday for strings』ほどジャズにおける揺れるハーモニーによる陶酔感とそのライブでの可能性とレコーディングの達成を示しているディスクというのはなかなかない。
「今こそポール・モチアンにインタビューしたい」と願っていたこともあったなあ。でも、ぼくの力量ではそれはかなわなかっただろうしなあ。
あ、でも『It Should've Happened A Long Time Ago』のライナーの出来はすこぶるひどい。何てたって、わしの故郷の風景の描写つうか、未熟なノスタルジア作文だったりするのである。モチアンA面1曲目伝説、などと痴呆なことまでたしか書いた。笑ってしまう。わたしはそのライナー、所有してない。だれかコピーして読ませてください。
ポール・モチアンの参加作はほとんど聴いた。
きのう紹介したCDもモチアンが重要。モチアンのタイコのように、そのように、ぼくは生きてゆきたい。(おいおい、どういう日記だ)
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