Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年02月09日(月) 小冊子『up north!』・月刊『JAZZ TODAY』創刊号・新宿ピットイン平井庸一グループ

かなり美しいパンフレットをディスクユニオン新宿店で入手した。
『up north!』という水色を基調にデザインされたタテ長の小冊子だ。

「ヤン・ガルバレクとノルウェー・ジャズの愉楽」と題されており、コンテンツは「ヤン・ガルバレク・インタビュー」「ECM音響エンジニア、ヤン・エリック・コングスハウクに聞く」「ブッゲ・ヴェッセルトフト、ジャズランドを語る」「ノルウェー・ジャズの来るべきかたち」の4本。

すごい面白いのは、ガルバレクはオスロの家から4〜5時間離れたところにコテッジを持っていて、そこにこもってインスピレーションを得る、そんでオスロでは娘や孫の相手をしなきゃ、という。おおー、おじいちゃんになっていたのかー、ガルバレクー。そりゃ音楽も、変わるやな。なんか、いいなあ、こういうコメント。アイヒャーとのなれそめシーンにも、笑える。インタビュー全体にガルバレク情報多数(あたりまえか)、ファン必携。

コングスハウクのインタビューもいいし。ジャレットのスタンダーズを録音しにニューヨークに行ったとき、隣のスタジオでデビッド・ボウイが『レッツ・ダンス』を録っていた、とか。ブッゲのインタビュー、ディスクユニオンの山本さんのテキストも。現代ノルウェー・シーンの5人と10枚、なんてかなりシーンに迫った素晴らしいセレクトで、全部買わなきゃ、です。

この小冊子、中身もいいが、デザイン、写真、そして紙質までいい。指先を伸ばして、そっとページをめくってしまう。読む用、と、保存用、と、永久保存用まで入手したいブツである。


同時に『JAZZ TODAY』創刊号を入手。
イーストワークス社が月刊で日本のジャズ・シーンを揺さぶるような気配を感じる。表紙はさすがアウトゼア誌編集長のいい写真だ。
キップ・ハンラハン『ピニエロ』の記事がいい。このCDもほんとうに素晴らしい。

イーストワークス社は、キップ・ハンラハンのレーベル『アメリカン・クラーヴェ』を配給している。テオ・マセロの『テオ』は、もっとジャズファンに聴かれなければならないし、マイルスのブート盤とともにテオ・マセロは語られるべきなんだと思う。


新宿ピットイン昼の部に平井庸一グループ(>2/5参照)を聴きに。

リーダーの平井くんは前夜、太陽肛門スパパーン(!)の録音と打ち上げで、寝起きで登場。
グループの演奏は、リハ不足なのか、個々のプレイには実力者揃いであるから聴きどころを感じるものの7人がかみ合っていない。ベースがふたつある必然が感じられないし・・・。みんな、リーダーとのコミュニケーションができてない感じ。ケンカでもしたんかね?(笑)。タイコがアップテンポになればガラッと変わった、という問題だけかも。
なんともユルいライブだったけども、リーダーの平井くんが何度もその巨漢からズリ下がるズボンを上げては演奏してみたり、座ってみたり、それでも悠然としている風情に、なんとも可笑しく、(あせっていない、というのも、いいもんだなあ・・・)と妙に味わってしまっているのだった。


友だちから「たださんに聴かせてもらったモスラ・フライト(>1/16参照)、凄いです、これこそ私が聴きたかったジャズです、こないだ聴いたジョーマネリのライブとともに愛聴盤になりそうです」とメール。

高木元輝は今日まぎれもなく、日本―いや世界で最も重要な位置にいるリード奏者であると、僕は確信をもって云い切ることが出来る。かつて、アーチー・シェップについて「シェップは、それまでのテナー奏者が、最高絶頂のときにのみ出す音で、始めから終りまで演奏する」と語られたことがあった。この云い方に従えば、それでは、わが高木元輝については、いったいなんと云ったら良いのか。リードをはさみ込んだ彼が、チューニングのために一吹きすると、厚さ一センチに近いガラスがビリビリと音をたててふるえるほどなのである。そうして始まる彼の演奏は、あくまでシリアス、あくまで豪快に吹きまくり、人間の感性に直接つながる〈美〉を浮き彫りにする。それは、凄じい魂の叫びである。怒りと悲しみと平和が渦巻いて、サウンドの底に鳴り響く。石、鉄、水の様な無機質な〈もの〉に、情念の回路を通じて、夢と生命を吹込む。これは、高木の奥深い処に秘められているやさしさなのであろう。つまり、高木の演奏には1音1音に生きた感情があるのである。(副島輝人)


ディスクユニオン新宿店で、身なりのいい男女が店員にCDを手渡し、
「これに似た感じのCD、いくつかみつくろってください。いい感じなんですよ。ええ、お店でかけるんです。おまかせ、で。」と。
TPOで聴くジャズもあれば、リスニングルームで対峙するジャズも、踊るためのジャズも、ある。
むかしはNHK−FMでもジャズの専門番組あったし、ぼくはクロスオーバー・イレブンで聴いたパット・メセニーでECMに遭遇したし。
ジャズについては、20歳のときに中央線に揺られていた午後に、突然「あの、水道橋スイングで聴いてるああいうのが聴きたいー」とスイッチが入ったのをはっきりおぼえている。

■musicircus


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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