Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2004年01月20日(火) 坂本真綾と菅野ようこ・『Scelsi Morning / Marc Ribot』(TZADIK : 2003)

きのうの日記は正視に堪えない内容である・・・。イントロを「坂本真綾」で書き換えなければ・・・。
いい名だね、坂本真綾。まあや!、ってか。まあやのも、くちでして、ってか。・・・はいはい、いいかげんにします。

東京都小金井市の東京学芸大学の東門の向かい側の角にできた「えびみそラーメン」屋。お店の名前は忘れた。
「えびみそラーメン」なんだけど、みそ味・しょうゆ味・しお味、がある。わけわかんね。
だしは、えびとたい、が、メイン。えび、と、たい。想像できないー、と、食べたら最後、4時間たっても味わいの余韻が残る濃厚さ。
その後、何日も「あー、食べてー」と思いながら過ごしてしまう中毒性。かなりキケンなラーメンである。

坂本真綾と菅野よう子のようなラーメンである。

坂本真綾のデビュー作『グレープフルーツ』(Victor 1997)、この作品で、世界は菅野よう子の才能を知る、のである。
菅野ようこは、アニメのサントラの世界だけではなく、「アレンジする」濃厚さの世界水準を一変させてしまった。
まさに、基準の変更である。
そのサウンドは映像的でもありオペラチックでもある、それは従来の映像的・オペラチックの語義からもはみ出ている。
一般的にはアレンジのメインに据える楽器の音色および音楽フォームはだいたいがせいぜい2〜3で収まっているものである。
たとえばアコーディオンのタンゴ調なラインにエンヤ的コーラスワークをかぶせて、いっちょあがり、とか。
ところが菅野よう子は、5つも6つも、必要なものはすべて投入してしまっている。
なぜなら、
最初に見せたいサウンドのヴィジョン、世界観があるのだ。
それは、いっちょあがり、というゴールに進むというアレンジ行為なのではない。
ほとんどジャングル大帝レオのオープニング画面のように、画面全体の細部にわたって描写が緩まないような。
どのはじっこの音、・・・、かすかなギターのつまびき、エコー効果のまどろみ具合、仕込まれた転調、にも必然を覚えて、それはまさに「ペットサウンズ的!」とさえ宣誓したくなるような世界だ。

坂本真綾公式サイト

で、そんな菅野よう子ちっくな才能・作品にはなかなか出会えないものだ。

越境的なギタリストとして知られるマーク・リボーが昨年出したリーダー作、演奏家を10人ばかり集めて、かなりヴィジョンの明確な、それでいて異文化混交的かつアヴァンギャルドであり即興の次元にも踏み込んでおり現代音楽でもありオルタナティブロック風でさえある、かなりの作品。これが2003年を代表するCDたちのうちの1枚であることを、たぶんみんな言うだろうと思っていたけど、誰も言わない。なんでや。

『Scelsi Morning / Marc Ribot』(TZADIK : 2003)
■TZADIK ここのcomposer’s seriesにあります。
>ををを!ここのNewJapanのコーナーを見たら、なんと太田裕美と高橋鮎生によるコラボレーション作『Red Moon』なんてものが(!)。

いやー、マーク・リーボウ、ジョン・ゾーン主宰TZADIKであるからこそ、ここまで濃く深くもありながらクールでシリアスな芸術的でさえある“世界”を提出し得たのか。耳が、細部の微音にまで反応しまくる代物である。

ロヴァの耳■musicircus


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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