日記...マママ

 

 

迎合 - 2006年12月11日(月)

陽子ちゃんのことを、ふっと思い出した。
ときどきやってくる猛烈なフリーセル熱に浮かされて黙々とカードを並び替える作業に熱中していたとき、中学1年と2年のころに同じクラスだった陽子ちゃんという子がいたのを何の脈絡もなく思い出した。
頭のいい子だった。
が、悲しいかな、おバカ揃いのギャル軍団に所属していたため、「何気なくとばした知的なギャグがグループ内のメンバーに理解されない」という憂き目に遭うのをしばしば目にした。

たとえば2年のときは「セイシ」という名の大学出たての男がうちのクラスの担任になった。体育館での始業式で新任として紹介され、壇上に上った彼が「はじめまして、○○セイシです」と名を名乗った瞬間に全校生徒が爆笑した。セイシにしてみれば間違いなく一生忘れられないトラウマになったであろう。(ちなみにわたしはウブだったので意味がわかりませんでした)
始業式が終わって教室に戻り、セイシが改めて黒板に「○○青志」と自分の名前を書いていたときに「こめへんはつかないんですか?」という野次を飛ばすことのできるような、陽子ちゃんはそのくらいのインテリジェンスのある子ではあった。本当はそういう野次を飛ばすような柄の子ではないのだが、軍団内に漂う「セイシをいじる糸口をつかみたい」というムードを察しての行動であった。
しかし、その意味を理解できた子はおそらく軍団内にはいなかったであろう。よって陽子ちゃんの先発攻撃は不発に終わった。

わたしはギャル軍団に憧れていた。かわいくて明るくておしゃれで社交的で、わたしがほしいものをたくさん持っている人たちだったから。
しかし、わたしと彼女たちの間にはうまく言えないけれども厳然たる壁があり、わたしが彼女たちと同じになることは決してできなかった。

軍団のリーダー格の子が、ちょっとした用事があって放課後セイシに呼び出された。なんとか相談室、とかいう狭い部屋で二人っきりで話す様子をメンバーは外から「エロい」とかいって囃し立てていた。
その子が出てきたとき、陽子ちゃんは「あれ?どうしてボタンが互い違いなの?」
と冗談を飛ばした。
あぁ、また齟齬が生まれる、と、たまたまそばでその光景を目にしていたわたしは気が気でなかった。

陽子ちゃんのこうした涙ぐましい迎合の姿勢は見ていてすこしだけ痛々しかった。頭が悪い子が無理をして賢しらげに振舞うのはものすごくウザいけれども、陽子ちゃんはその逆だったから、なんとなく、大変だなぁ、という同情の目で見てしまうのだった。
わたしも、話が合う子というのがクラスにいなかった。何を話せばいいのか、皆目見当がつかなかった。ドラマも見ないし、他の子が読むような漫画も読んでいなかった。とりあえずドラクエが好きだったが、クラスにドラクエを知っている女子は他にいなかった。男子にはいたが、部活や万引きや雑巾野球の片手間にやっているだけで、じっくりと腰を据えてドラクエ談義に花を咲かせることのできる級友はいなかった。
そんなんだったからかもしれないが、わたしは陽子ちゃんに勝手にシンパシーを感じていた。わたしがもうちょっとかわいくて社交性があれば、彼女とはもっと仲良くなれたのかもしれないなぁ、と思ったりもする。
そういえば、わたしは2年の終わりに転校したのだが、転校が決まってから、なんだかわからんが彼女にものすごく構われていた。
彼女だけでなく、ギャル軍団全員に尋常ではない構われ方をしていた。
なんだったんだろう。いまだにわからない。
なんでもない普通の日に写真をばしばし撮られたり、黒板一面にわたしとの思い出を色とりどりのチョークで書いてくれたり、普段ほとんど話すことがなかっただけに混乱して「なんか遠まわしにいじめられているのだろうか」とか思ったが、単純に「転校でさびしいだろうからできるだけのことをしてあげよう」という心遣い、だったのだろう。たぶん。

セイシは今も先生をやっているのだろうか。
8歳差だから、今セイシは35歳だ。

同じクラスの、とある山脈名があだ名になっていた子からわたしはものすごく嫌われていて(理由はわからない)、でもその子のほうがクラス中からなんとなく嫌われていたから、まぁいいや、と思っていたこととか、好きな男子との微妙な距離感とか、芋づる式にそういうのを思い出す。
おもろいなぁ。中2って。
自分の考えていたことを思い返すのもおもしろいし、友達の言動を思い出すのもおもしろい。
今の中2と比べると、おしなべて子どもだな、と思う。


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