Land of Riches
Index|Before|After
審神者の研修だと噂を聞いたトーハクのVR刀剣に行ってまいりました。 取り上げられるのはトーハクの顔とも言える三日月宗近と、福岡一文字派による岡田切吉房。
凸版印刷が本気を出した撮影(撮った画像で製作された3枚一組の三日月ポストカードも 用紙の種類やインクが明記されてましたが、同人誌作っているオタクにしか響かないかと)による 疑似手持ち鑑賞体験。ナレーションが係員(今回はお姉さんでした)さんによる 生だったのにはびっくりしました。刀の持ち方の説明担当も兼ねてるんですね。
和室に白鞘から抜かれた二振りが静かに置かれている映像に対し、お姉さんが 「鑑賞の準備はできています」と告げた瞬間が実は一番興奮しました。 本丸の手入部屋ってこんな感じなのかなと。審神者は手に取っているはずですし。
三日月の背にある刀傷、寛永元年の高台院遺物と書かれたかつての白鞘、 そして今の白鞘(何も書かれていない)と展示が頻繁になってきた昨今でも お目に掛れない代物がてんこ盛り。姿、地金(板目肌)、刃文と存分に手持ち気分で 堪能できました。本来は自分の好きなように光に当てて見るものですから。
なにせ審神者歴5年目なのに、物打がどの部分かを初めて知りましたよ…。 お陰で本館13室での鑑賞は今まで以上にじっくり見ることが出来ました。 なんだかんだで三日月は他の刀より数百年長く生きて経年劣化しているのも よく分かりました。三日月には目釘穴が4つ(ぱっと見ると1つに見えますが)あるのも 研修してるから初めて気づけましたし。キョーハクではほとんど見られなかったから。
今回は2Fにあった南北朝時代の青江派の焔のような刃文が気になりました。 伊達家伝来(あちこちで伊達家伝来見掛けるから、それだけ流出してると分かる) 派手な刀身に対し、鞘は徳川幕府下賜品らしい地味なもの。良いコントラストです。
トーハクに行った目的はVR刀剣でもありましたが、一番のメインは「日本のよろい!」でした。 先日の侍展予習で甲冑の話をいろいろ聞きましたけど、その復習として 物凄く適した展示だという噂をtwitterで見かけまして。堀本さんが説明してくれた 甲冑の形(大鎧⇒腹巻⇒胴丸⇒当世具足)の変遷、パーツの作成がだんだん 見掛け倒しになっていくこと…それがしっかりビジュアル化されていて、 理解が深まりました。合わせ技一本って感じでしたね。2Fには黒田高政の鎧がまた出てて、 これは縅に見せかけたパーツで作られているんだと初めて気づけました。
説明と実物を合わせる必要性は、VR刀剣開演までの時間潰しに見ていた 「如来と菩薩と明王と天の違い」でも凄く感じました。VRは本館じゃなくて 東洋館なので、置かれているのがアジアの石像だったりするんですよ。
如来:悟りを開いた後。シンプルな服装+知恵の象徴として頭がぼこっと出ている。 菩薩:悟りを開く前。シッタールダは王子なので割と派手な装飾品をつけている。 明王:仏が現実世界に介入し実力行使する際のモード。 天:仏教の広がりに際して取り込まれた土着の神。
本館では長谷寺など奈良の仏像特集が行われていましたし、今回は久々に 法隆寺宝物館にも行きましたから、仕入れたばかりの知識がとても役に立ちました。
|