Land of Riches


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 2018年09月02日(日)   博多/受け手の解釈する思いやり 

福岡市博物館の黒田家名宝展示はどのターンでも見たい物ばかりですが、
なにせ市立博物館なので基本的に月曜休館。今回の遠征日程でねじこむなら、
博多座での観劇前に向かうしかなく、山口への観光は捨てて朝から新山口駅に。

湯田温泉の「豆子郎」は朝8時から営業してて流石でした…3日しか持たない
生外郎はプルプルの舌触りでした。日本でういろうと言えば名古屋と小田原らしいですが、
刀ステ外伝のDVDでも出てきた小田原は食べたことがありません。
だから、名古屋のしか知らなくて…山口のはわらび餅ベースなんですよ。
レノファの試合会場でも売ってるぐらいの名産品。これも教えて頂いて感謝でした。

新幹線を使えば、山口から博多は驚くほどのあっという間。B'zのドームツアーに
向かう人で若干混んでいるバスで、さっそく博物館に向かったのでした。

黒田長政は現実的かつ神経質な性格ゆえ、あれこれと遺言書を残しているのですが、
そのいくつかが展示されていて…シメオンジョスイの朱印や、名前の文字にさえ
胸をえぐられてしまうクラスタになり果てている自分を再確認しました(苦笑)

一番やられたのは、狗子仏性の公案に挑んだことが書かれた黒田家譜が
展示されていたんですけど、その直前が刀について語った部分だったことですね。
思い入れのある1セットさえ持っていれば十分だと。

今度こそ買うと決めていたトートバッグと日本号のクリアファイルを購入し、
地下鉄駅まで歩いて中洲川端駅直結の博多座へ。福岡何回も飛んでますが、博多座は初。
お昼ご飯を食べようと検索してみるのですが、出てくる店はみんな長蛇の列。
仕方なく天神方向へ歩いていって、水上公園に検索で出てきた店を見つけました。
850円の担々麺食べるべしと。入った時点で14時を過ぎていて、ランチタイムは終わったと
いきなり言われたのですが、ちょっと不満を示したらランチでOKと一転。

…この時点では全然気づいてなかったのですが(この建物の1Fがパンケーキで
超有名なbillsだった時点で多少は察しても良かった)、実はこの店、
本店がミシュランに載るような福岡では名の知れた中華のお店だったのです。
見回してみれば、他の客はデートで来ているらしきカップルが大半。
担々麺も、ガラスの器で出てくるインスタ映えしそうなおシャンティ。
もちろん味も文句なし。通常価格1000円ですが、これも納得でした。

そして、とどめは何となく頼んでしまった1杯700円の15時間水出し中国茶。
担々麺850円なのにワイングラス1杯700円のお茶とは…と思ったのですが、
立ちのぼる香りもお上品でしたし、一口つけて脱帽でした。こんなまろやかなお茶、
今まで生きてきて飲んだことがない!
もうめちゃくちゃ美味しかったです。
福岡に住んでたら通うわと思ったほど(なお全般的に本店はもっと美味しいらしい)

レジでマネージャーの名札を付けた人に尋ねたら、蜜蘭単欉だと教えてくれました。
鳳凰単欉(ほうおうたんそう)という青茶の一種、蜜や蘭のような甘い香り、の意。
家でも淹れられますよ、とジャーマネ爽やかに言ってくれましたが、
いやいやこんな茶葉はプロがやらないと…と内心思ってました(笑)
来年以降の福岡行きではリストの1番に入れておきたいと決めた次第です。

再び博多座へ。中は明治座に似てました(そりゃそうだ)
お金をケチったので3階席でしたが、生で見れた(聞けた)だけで幸せでした。
座長は諏訪部さんでしたが、主役は愛犬ゼロくんとの生活経験を活かし
犬になりきっていた諏訪部さん演じる信長の犬ルキフェルではなく、
浪川さん演じる犬大輔でした。彼が座長だといろいろ大変だからでしょうけど(笑)
(しかし今回はベテラン勢が噛みまくる中ノーミスで終えた浪川さんでした!)

犬にしか心を開けなかった信長、真面目過ぎてついていけなかった光秀、
天下人の孤独に思いが至らなかった秀吉、飼い犬を殺したくなかった信長の
気持ちを受け入れられなかったルキフェル…満たされない多くの者の中にあって、
犬大輔はワンコLOVEの純粋無垢さで周囲を圧倒していったのでした。
井上和彦さんの演じる老犬ワンコ先生(違)がいい味を出してました。
先立つ者の自己満足を遺された者はどう消化するか、はとうらぶにも通じるような。

時に障子が燃え、低温花火が吹き上がる相変わらずの派手演出でしたが、
一番印象に残ったのは終演後の挨拶で、即完売演目なのに、東京ではハコが見つからず、
博多座の誘いもあって、今回の公演が福岡で行われたという事実でした。
東京の劇場不足はよく耳にする(刀ステなどが明治座でやるのもその一端)のですが、
声優さんは職業柄、東京を何日も離れてもらうのは難しいはず。

今回は鈴村さんプロデュースでキャスト達ももつ鍋だ牛タンだと美味しいものを満喫し、
福岡で良かったと思えたようですが、なかなかキャストを引っ張ってこられる
地方都市も少ないような…でも、これからは地方でしか上演されない演目も
増えていくのかなと思った次第でした。地方遠征、嫌いじゃないんですけどね私は。

博多駅そばで太刀魚と日本酒を味わいながら夜は更けていったのでした。

2018.9.17 wrote


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