Land of Riches
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かくしてパラドックスは消え失せる。(3.333改)
永田さんが19日のフル代表・カメルーン戦のメンバーに選出されました。 本来ならば祝うべきなんでしょうけど…泣きたいぐらい、悲しくなりました。 実際、これを知らせるメールを受け取って以降、仕事はまともにできなくなり、 帰り道の途中で傘をどこかへ置き忘れました。それがどこかすら思い出せません。
今日からU-20代表は最終選考合宿@さいたま市へ突入しました。水曜には、 ユース代表には不相応な器と思われる国立で壮行試合があり(既にメールでは お願いしまくっていますが、お暇な方、是非足を運んでやって下さい!) その後も17日まで合宿が行われた後、20日に開催地であるUAEへ向けて出発します。 とはいえ、先日掲載した角田さんのコメント通り、Jリーグで活躍中の選手も ぐっと増加した代表であるがゆえに、妥協点として15・16日開催の試合へ出場する選手は オーストラリア戦後、いったん解散となってチームへ戻ることとなっています。
>宇野沢「短い合宿になるかもしれないけれど、最後の選考だし >なんとしても残りたいです。がんばります」 >永田「これで最後なので、すべての力を出して、がんばってきます」 >近藤直「怪我を治すことが先決ですが、しっかり臨んで、最終メンバーに残りたいです」 >谷澤「レイソルの代表として行くことにもなるし、 >自分としても世界大会に出る初めてのチャンスとなる。 >試合に出たらチームに貢献できるようなプレーをしたい。応援してください」
レイソルが15日に控えている試合は、ウイングでのヴィッセル戦です。残留争いで 苦闘を続ける神戸の選手もさることながら、恐ろしいのは、荒れ放題の芝です。 ここは足に負担がかかるのか、大怪我をする選手が続出する魔のフィールドなのです。 今のレイソルは、聡太さんがベンチ入りしてもおかしくない(実際、前節はベンチに DFをおかず、万が一の場合は下平さんが最終ラインに入ることとなっていた模様)状況。 優勝も残留も争っていませんけど、非常に厳しい戦いであるのは確かです。
>これからもそれぞれのカテゴリーの代表の活動が重なってしまうことが多分にあると >思いますが、その時その時のプライオリティーを考えてどちらか、あるいは選手、 >チームに対して、悪い影響を与えない形で選手を登用していきたいと思います。 >今回もその一環です。U-20代表が練習を始めて、フレンドリーマッチ(12日の >オーストラリア戦)をこなす。永田にはその後で実働3日間ほどA代表の方に >来てもらって、その後すぐ20日からUAEの方に向かうということで、ほぼ影響は >ないだろうと思います。逆にA代表に選ばれて、この中で活動を行うことが >彼にとってプラスになると判断した結果です。それとポジション的に >右をやっていますが、彼のチーム(柏)での動きを見ると、今回はスタメンには >選ばれなくとも、活躍を期待させるような動きをしていますので、 >今回ぜひ来てほしいということで選出しました。 >3〜4日間のA代表の経験によって、永田とU-20のチームメートがこれから >ワールドユースを戦う上で、何か役立つものを得てくれると思います。 >彼は非常に真面目に一つひとつのことに対して取り組むので、練習の中でも >得るものは大きいと思います。ですから、これからワールドユースを戦う上で、 >チームメートが発奮する、戦術的なものも含めてチームのために >なってくれると思います。それと、A代表のユニホームを着て戦うという誇りも >伝えてほしいと思います。今回はワールドユースがあるということでばたばたに >なりますが、これがネガティブにU-20代表に働くようならば、今回自分は絶対 >選出しなかったでしょう。しかし、これが確実にワールドユースのためになると >思って選出しました。
私が悲しくなった要因は、このタイミングです。ジーコの言う通り、厳密には U-20とフル代表のスケジュールはかぶってません。無論ジーコが要求するだけでは 呼ばれないと思うので、彼のタイトなスケジュールは協会幹部の許可つきでしょう。
私は、これまでに何人も疲労がきっかけで大怪我を負った選手を知っている(大怪我とは 少し意味合いが違うけれど、羽田さんの存在はこの手の話になると、私をどこまでも ガチガチに縛り上げます。無駄な思いとは自ら承知ですが、私は2年前の大会直前に 羽田さんの奇跡の復活を待ち望んでいた自分を、もう許せなくなっているのです。 彼の苦しい日々は、あの時の無茶が第一の素因ですから)ので、今回に限らず、 たとえば来年1月末からU-23が始動するだの、2月にはナビスコの予選が開幕するだの 聞くと、天皇杯はとっとと負けて静養した方がいい、と考えてしまいます。とにかく、 彼は若いとはいえ、その体を蝕む疲労の蓄積を考えると消極的になってしまうのです。 実際、先日の角田さんはボロボロでしたし、永田さんだって失点シーンで棒立ちなのを 少なくともダイジェストでは見ましたから…疲れていないわけがないのです。
そして、1シーズン乗り切るのは今年が初めてという肉体以上に気がかりなのは、 心です。彼は、ワールドユース延期に伴い、U-20選手がメンタル面で崩れていく中でも (今野さん、大悟さん、角田さんはやられた…)比較的落ち着いてやってきました。 それは、彼のマイペースな性格が幸いしたのでしょう。しかし、大熊監督の判断により U-20のリベロは菊地さんへと移行していき、永田さんは奪い返さねばならない立場と なりました。監督の嗜好と切り離せないのが代表選考。調子や実力というよりは プレースタイルあるいは先天的な身体能力を乗り越えることを求められる戦いは、 かなり辛く苦しいものです。このタイミングが最悪だと感じる最大の要因は、これです。 U-20は渡航後も現地で練習試合を組むだのいわれてますが、ぶっちゃけ、永田さんが どれだけU-20を離れてもレギュラーを保証されているような選手なら、今この瞬間、 私の心にうずくもやもやした思いの8割は解消されるでしょう。つまり醜い願望。
誰もが心から受け入れられる代表なんて存在しないと、西村ジャパン時代に 嫌というほど思い知ったはずなのに、まだ納得できてません。バカです。学習能力なし。 今回の選出だって、茂庭好きにとっての永田さん選出と、永田好きにとっての選出は 全く違う意味を持つのでしょう。永田さんが選ばれたという事実自体は、当然ながら 一つしかないわけですが。それは、永田or菊地の回答が、永田ファンと菊地ファンでは 話し合っても全く噛み合わないようなもの。実際、私とSさんはそういうやり取りをしました。 ボランチになりたくてもなれない菊地さんにとって、リベロはどうしても確保したい場所。 ストッパーよりも。二人はかつての盟友ですが(当時、仕切っていたのは中2の 菊地さんだったと言われてます)スタイルが違うゆえに成り立っていただろうコンビも、 今では二人をピッチとベンチへ引き剥がすももでしかありません。自分のために、 相手を蹴り飛ばして、出番を確保するしかないのです。自分の成長のために。
浅田さんは言葉を尽くして、それぞれの良さがある二人のどちらをチョイスするかという ある種の贅沢な争いだとしてくれたわけですが、それは永田さんがフル代表に 選ばれながらもU-20では出番に恵まれないからこそ成り立つパラドックスです。 どんな監督にも信頼される選手はいますけど、二人はそうじゃなくて、その上、 暗黙の了解でフル代表>ユース代表となっているから。ただ、それだけ。 カテゴリーがたまたま違うだけ。たまたま。アウレリオが信頼を寄せるように、 その推薦を受けたジーコが気に入っているだけ。大熊さんにはその身体能力が 頼りなく映るだけ。一般的な受け止め方にたまたまそぐわないだけ。まさにパラドックス。
…本当は、そう対等に並べうるものでもないように感じているのですが、悔しいから それを認めるのが嫌なだけ。菊地直哉より永田充が好きなだけ。それだけ。 全ての屁理屈は、その不等号を補強するため、必死に編み出されたものなのです。
U-20のレギュラーになってほしいから、そのために私が…私が最善だと思う行動を 彼にとってほしいと勝手に望むから。すなわち、合宿でのアピール。力及ばぬ域なれど。
>まず茂庭についてですが、先日の遠征では非常に私の期待にこたえてくれたと >思っていますが、できるだけ五輪の選手をいじりたくないという思いもあります。 >(同じ五輪代表の)大久保については、以前からトップチームで誰よりも長く >プレーしていたということで召集しましたが、監督としての選択ということで >今回は永田を連れていきますが、決して茂庭の出来がうんぬんということでは >ありません。彼が今の調子を保ち、これから試合を重ねることで個性を >出してくれるでしょうし、将来的には申し分ない(選手になる)と思っています。
>茂庭について付け加えますと、先の試合で、中澤、坪井のコンビがいいということ、 >それから、どちらかというと茂庭よりも永田の方がこのポジションには >慣れているだろうということも考慮しました。
A代表>ユース代表という既成概念(そういえば菊地さんはあらゆる既成概念を 乗り越えていくことを好む選手ですね…)が成り立たないように感じるのは、 ジーコ就任以降のA代表自体がぱっとしないのもありますが、そもそも、10月の初選出で 彼がU-20のアメリカ遠征を犠牲にしたのみならず、心に大きな傷を負ったような 推察ができてしまう(あくまで推定。以下の文を組み立てているのは論理ではなく 想像力にすぎません)から。10/1とは別人のように痩せこけた、サカマガでのあの顔。 フル代表は気まずいと長谷部さんに電話でこぼしたという情報。それぐらいなのですが。
Sさんの指摘通り、私の心配やら不安やら憂鬱を吹き飛ばせるものは、この世に一つだけ、 永田さんが心からA代表での経験を良いものと受け止めてくれること。そう語ってくれること。 代表に選ばれて良かった、と。ただ、今回の選出を彼がどう受け止めているかは不明です。 代表合宿参加中の彼のコメントは、柏の公式には載りようがありません。そして、 ジーコがベンチに置くとほぼ言い切っている以上、そんな選手のコメントがメディアへ 露出すると思えません。だから、全てをイマジネーションで補うしかないと。私は。
自分がマイナス思考なのは分かりきってますけど、茂庭さんを選ばなかったくだりなのは U-20へ刺激を与えるという名目のもとに、なんらかの実力とは無関係な選択が 行われたようにさえ感じさせるものがあります。永田さんが優れているからでもなく、 永田さんが伸びてほしいからでもなく、彼を触媒としてU-20世代へ影響を与えたいから。 むしろ、彼であるべき確固たる理由もなく、U-20世代よりの人身御供のように。
どれだけ言葉を並べても、少しも私の心を表したことにはなりません。全部後付け。 何もかも本音ではなく―ただ、永田さんにとって辛いことが私には辛いだけ。 永田さんにとって辛い“だろうと私が決め付けた”ことが辛いだけ。それだけ。 他の人が(ジーコなど含めて)どんな理論を展開しても、全然関係ありません。 だから、このことを誰かと話し合っても、時間の無駄になってしまうんですよね…。 それでも話さずにいられなくて。誰か、同じ思いを抱く者はいないかと。 自分の分身はいないかと。これは、どこか歪んだ自己愛。目線をそらしたナルシズム。
辛いことがあるたび、悲しいことがあるたび、怒るのに疲れ果てるたび、 何かを感じる心なんてなければいいと思います。心がなくなったら、喜びや楽しさも もちろん感じられなくなるけど、それらは心を揺さぶり傷付けるものと比べたら、 遥かに巡り会える機会は少なくて…とにかく、心が痛むのに疲弊しきっていて。 生きるのが面倒くさくて。オーストラリア戦、行くのをやめようかとさえ思いました。
何もかもどうでも良くなってしまえたら、自分が生命を維持することに全力を注げたら。
トートロジーと矛盾とは意味を持たない(without sense)。(4.461) しかし、トートロジーと矛盾は無意味(nonsensical)ではない。 それはシンボル体型の一部である。 「0」が算数のシンボル体型の一部であるのと同様である。(4.4611) トートロジーと矛盾は現実の像ではない。 前者は全ての可能な事況を許すし、後者はいかなる事況を許さない。(4.462)
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