Land of Riches


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 2003年11月05日(水)   蛇塚の記憶 

いくらなんでも選手から優勝メダルを奪い取るようなサポがいていいのでしょうか?

睡眠薬よりも安定剤よりも話し相手が欲しいです。今、自分が何を感じているのか
てらいもなく素直に話せる相手が。この辺、感情を素直に吐き出すことへ変な意地を
はっている自分が駄目なのですが。独り暮らしよりも孤独を感じるのも、そのせい。
かといって、今、独りで暮らし始めたら、また、かつて独り暮らしを始めたばかりの頃、
首都から逃げ出すように向かった鹿嶋の(あれ、当時市だったか?)高松緑地公園で、
のんびりと散歩していた親子連れを見て感じた究極の孤独が帰ってくるかもしれません。
狂ったように叫んでも、変人と白い目で見られるだけで、誰も声を聞いてくれない、
どこを見ても一人も知っている人がいないし見てくれる人もいない、そんな絶望が。

そう考えると、物理的距離を瞬時に超越するネット(携帯を含めた通信網、か)は
実に偉大なツールですし、あの時、クラブハウスで地元の方に親切にされたのが、
「ホームタウンに溶け込むアントラーズ」が私の中でNo,1となった理由なのです。
少なくとも、あの日の夜まで、私の一番のクラブはサンフレッチェだったはず。

サッカーを見始めてから結構長くなりましたけど、初めてサカマガとサカダイを
一緒に買いました。今までは迷ってても、必ずどちらかをチョイスしていたんです。
言うまでもなく今週号の表紙は田中達也さんで、こんなのを両方レジへ持っていくのは
レッズサポぐらいだと思うんですが…もちろん違うんですよ〜(涙)
4点取られて負けた試合の写真が表紙の号を2冊も買うなんて、正直、本当に嫌なんですが。

サカマガへ永田さんのワールドユース絡みなカラーインタビューが載るのは、
レイソル公式のお陰で分かっていたので、先にサカダイを手に取って、ぱらぱらと
めくったんです。そしたら、飛び込んできたのがリベロは菊地か永田か
見出しと、見開きの両端に並ぶ代表で活動する二人の最新の写真(菊地さんは日韓戦、
永田さんは1日の日立台)でした。アンダー年代についてきちんと書いて下さる
数少ないライターである浅田真樹さんによるその記事は、重くない(はず)ながら
完全に流されている“フル代表の永田が韓国戦に出なかった”事実を説明すべく、
3バックの中央へ陣取った際に二人が披露するディフェンスの流儀を丹念に説明した、
(前述の、重くないはず、の「はず」も一刀両断しています)CBマニアには
たまらないものでした。サッカーに関して綴られた文で、賛同するだの反発するだの
悲しくなるだのなんだの以前に、酔ってしまったのは久しぶりのように思います。
そもそも、アルコールだって数ヶ月単位で摂取していない私ですけど。

実質、文章は1ページほどしかないので、ここを見て下さっている方には是非立ち読みを
お勧めします。コンダクター永田とソリスト菊地のディフェンススタイルの差異が
きちんと描かれていて、その上で菊地さんの方が大熊監督に重用されている現実も
しっかり指摘し、でありながら、永田さんの菊地さんに劣らぬ利点もちゃんと
押さえてあって、甲乙つけがたい二人は決して不自然な状態(フル代表なのに
干されているなんて…ではなく)じゃなくて、「そこにあるのは、ふたりの純粋な
競争だけである」という締めが全てを物語っている、素晴らしい文章です。
二人の流儀をそれぞれ愛でている私にとっては、本当にたまらないものでした。

これを読んだ後でサカマガの言葉を読むと、永田さんは一体何について語っているのだろうと、
それについて語る前に見据えなければならないだろうと思わせる要素がある気がして、
ちょっと切なくなります。彼がかつてのライバルとして名前を挙げているのは大井さんですし。
しかし、今までになく男前だと感じさせる写真(すみません、それに惹かれて買いました)は
彼の頬がめっきりこけてしまい、やつれていることに起因していて、彼の胸を既に
何かが相当プレッシャーをかけていることが容易に推察できるのです。

声―出さなければならないなんて、誰だって知っているはず、でも、できるのは…。

合宿では候補全員集合なので、新しいシステムで突き進むか、元に戻るかで迷っている
大熊さんは全てを選び直す形となります。だから、二人は同じ位置にいるはずなのです。
これまでは菊地さんがリードしてましたが―Jでの経験など、何かと好対照な二人ですけど、
今更言うまでもなく、かつてはオレンジのユニフォームを着てラインを組んだ仲です。
月日は菊地さんにリードされていた永田さんを、一体どこへ連れていくのでしょうか?


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