Land of Riches


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 2000年12月19日(火)   不安の埋め方 

空いた穴を埋めるには、抜けてしまった分よりも多くのものが必要みたいです。イナモト、サカイ、アオキ、ナガイ…。

ワールドユース・ナイジェリア大会直前に市川さんがオーバートレーニング症候群で戦線離脱を余儀なくされた際、
市川さんはどれだけ頑張ってもコンディションが上がらないのには「理由」があるのだと分かって、ほっとしたとか。
人間には「特別なものでありたい」という願望と同じぐらい根強く「特別なものではありたくない」という思いが強く、
(もちろん前者はいい意味で、後者は悪い意味で)不調に陥ると自らを責めてしまう性質があるようです。

出勤前に「鬱病を乗り越える」なんて番組を見てたんですが、鬱病は脳に変化が現れるれっきとした病気だそうです。
それも、どんな人にも起こりうる事態―最近は「心の風邪」と呼ばれるぐらいだとか(風邪は誰でもかかるので)
病気だから、治療法もあります。ただ、本人も周囲もなかなか発病に気づかず、どんどん悪化させてしまうという。

20世紀最後の、という“冠詞”が連発される時代ですが、100年前の人に比べたら、
さらされるストレスのレベルもストレスに対する耐性も、随分悪くなっているのではないでしょうか。
古来から多くの哲学者や宗教家が取り組んできた人類不変の命題―私を苛むもの―すら見失うぐらい、
現代社会の中で生きていくのは過酷です。実際、私も少し前まで仕事が最大のストレッサーでしたし。

サッカー選手の仕事は「試合に出るor出られない」とか、結果がハッキリしているから、
他の世にありふれた職業に比べると、“職務”に対する取り組みがものすごく真摯だと思います。
当たり前と言えばそれまでですが、プレーやインタビューから見えてくる生き方にも、ものすごく惹かれるんです。
ゲーム自体が秘めたスリリングな部分やエンターテイメント性よりも
プレーヤーのパーソナリティの発露に魅力を覚えるがゆえに、スポーツ観戦が好きとも言えます。
…本当は、そんな選手を魅了してやまないスポーツ自体が備える素晴らしさも知りたいのですが。

もし、目の前に高い壁がそびえていても、乗り越えようとする意思を向けられる対象―目標とできるなら、
それは見えない未来やおぼろげな夢よりも大切なのかもしれません、本当は。


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