橋本裕の日記
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2008年03月04日(火) 自分を笑う健康術

 喫茶店である雑誌を読んでいたら、「イギリスはすごい格差社会だが、自殺率は先進国の中でとても少ない。その理由は、コメディ精神があるからだ」という意味のことが書いてあった。読んでいて、なるほどと思った。

 私はコメディはあまり見ないが、そういわれてみると、「ミスター・ビーン」など、イギリスのコメディはちょっと洒落ていて、独特な知的おかしさがある。呵呵大笑することはないが、思わずにやりとする。こうした面白さは日本の落語の楽しみにも通じている。

 私は上質なコメディ精神とは、他人を笑い飛ばすことではなく、「自分を笑う」ことではないかと思っている。画面の中のおかしな人物を笑っているようで、じつは自分を笑っている。「なんという馬鹿な奴だ。しかし、どうやら自分も同じような馬鹿かもしれないぞ」と、そう考えてにやりとする。

 コメディ精神とは、つまり「汝自身を知れ」という哲学の庶民版であり、自分を客観視するゆとりとユーモアの精神でもある。コメディ精神があれば、失敗しても自分を笑えばよいのだから、深刻に落ち込まなくてすむ。ピンチになってパニックになるよりも、「まあ、なんとかなるさ」とおおらかに構えたほうがいい知恵も浮かぶかもしれない。

 日本人はまじめで勤勉だが、この「自分を客観視して笑い飛ばす」というコメディ精神に欠ける嫌いがある。だから思いつめると周囲が見えなくなり、そのあげく自分を追い詰めて最悪の決断をしてしまう。そこまでいかなくても、憂鬱な気分で毎日を過ごしている人は多いのではないか。

 人間が真剣に生きている姿は美しいが、よく見つめてみれば、どこか喜劇的な要素がないわけではない。私たちはみんな喜劇役者だと割り切れば、こころが軽くなり、人生が楽しくなる。私ももう少しコメディを見て、愉快に、気楽に生きる人生術を身につけることにしょう。


橋本裕 |MAILHomePage

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