橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2008年02月29日(金) 犬に鏡を見せる

イソップ物語に、肉をくわえた犬の話がある。肉をくわえた犬が橋を渡りながら下を覗くと、そこにやはり肉を加えた犬が写っていた。そこでこの犬は、その犬の肉も欲しくなり、「ワン」と吠えかかった。そのとき肉が口から離れ、川の中に落ちて流されてしまったという話だ。

一度聞けば印象に残るので、だれしも「ああ、聞いたことがある」と思い、この欲張りで間抜けな犬のことを笑いたくなるのではないだろうか。これは犬を欲張りな人間にたとえた寓話だが、なんだか実際にありそうな話である。

犬を飼っていたころ、犬の習性を観察したが、鏡を見せて、その反応を見るということもした。鏡を近づけると、わが愛犬リリオはちょっと興味深そうに覗き込んだが、それからすぐに眼をそらして興味をなくしてしまった。

インターネットで調べると、鏡にうつった自分を他の犬だと勘違いして、吠え掛かることがあるようだが、わが愛犬は「なんだか変なものがみえるぞ。なんだいこいつは。まあ、どうでもいいや」という、投げやりな反応だった。鏡に写った像を自分だと認識しているようではない。

そこで、玄関口にある大きな鏡の前に行って、リリオを抱いた私の全身像を写してみた。そしてリリオに、「ほら見てごらん。私とお前が写っているよ」と注意を促してみたが、これもほとんど反応しない。

つまり、我が家の愛犬は、鏡に映った自分の像にはほとんど興味を示さなかった。鏡に映った像が自分だという認識もないのだろう。リリオは頭がよく、いろいろな才能を示して私を楽しませてくれたが、鏡の実験だけは拍子抜けだった。


橋本裕 |MAILHomePage

My追加