橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
看護婦をしている長女は私どうよう肌が弱い。すぐに荒れてかゆくなる。皮膚科に行っていろいろな薬を試してもだめだった。私も同様のことがあったので、そのとき使った「Kiss Me」という市販のハンドクリームをすすめたが、それも効なかった。
しかも看護婦だから夜勤を含めた三交代の勤務で、生活がどうしても不規則になる上、皮膚にかさぶたまでできて、かゆくて眠れないのだから悲惨だ。しかも1月に新居に引越しをしていろいろあったので、すっかり体調を崩してしまった。このため皮膚の荒れがすごいとになってきた。
この話を妻から聞いて、私も心配になった。昔、長女が幼い頃、同じようなことがあって、大学病院をはじめ、あちこちの医者に診て貰ったがどうしても治らない。そのとき、福井の母が地元に名医がいると知らせてくれた。そこで福井に帰省したついでに長女をその医者に診せた。
その気難しそうな老医師は、「これはひどい」と言って、長女のために特性の薬を調合してくれた。そしておどろいたことに、その薬を塗りだして、数日後にはすっかり発疹はおさまり、肌がきれいになった。わずか一度の診察で、長女はそれまでの長い苦しみから解放され、そしてその後長らく肌のトラブルに悩まされることがなかった。
残念ながら、その名医は十年ほど前に亡くなった。息子があとを継いだらしいが、父親のようなカリスマ性はなくて、技量も平凡で頼りにならないという。どこかに名医はいないかと思ったが、もう、そんな神がかりの名医がいるという情報はなかった。
過労が重なり、長女の肌は最近はますます悲惨な状況になっていた。そしてとうとう、2月に入ってインフルエンザにかかった。予防接種をしていたのにも関わらずかかったのだという。よほど体が衰弱していたのだろう。妻が見舞いに行っても、食欲がなく、ほとんど何も食べずにベッドで休んでいた。
ところが、この月曜日に私が見舞いに行くと、娘はマスクこそしていたが、かなり元気になっていた。そして「明日から、仕事に行く」という。妻が近くの喫茶店に誘い、三人でサンドイッチなどを注文して食べたが、食欲もあった。
そして驚いたことに、「肌がすっかり治ってきれいになった」という。たしかに、もうどこにも荒れがなかった。二十代の白くすべすべしたきれいな肌をしている。どうやら、インフルエンザでまる一週間仕事から解放されたことがよかったようだ。
どんな医者も薬も治せなかった肌の荒れを治したのは、つまりは「休息」だったわけだ。つまり、「休息」こそ最大の名医だということになる。しかもこの名医は何も治療をせず、体の治癒力にまかせるだけだ。したがって一銭の診察代もとらない。私もこれからは医者や薬に頼る前に、このとびきりの「名医」のことを思い出すことにしよう。
|