橋本裕の日記
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2007年08月31日(金) 8月の短歌

いよいよ8月も今日でおわりである。セブから帰ってきて暑い日が続いたが、その異常な暑さもようやく収まって、秋の気配が感じられるようになった。うれしいことである。8月分の短歌31首をまとめて紹介しよう。

雨上がりムーン・カフェでビール飲むワサビタコスを皆で食べつつ

はっぴ着て鉢巻をするおとめらのりりしき笑顔なつかしきかな

肌の色言葉もちがう異国人なれどわれらはみんなひとつ

肩並べ夜景を見れば花火見ゆ娘のごとく君をいとしむ

浜辺にて夜空を見ればひさかたに天の川見る椰子の葉陰に

椰子の葉の家に泊まれば星月夜風の音までやさしく届く

あたたかな人の心にいくたびも触れ行く旅はたのしくあるかな

思い出の写真眺めてしみじみと出会いの幸を噛みしめている

異国にて英語を学び今日もまたわれをゆさぶる新たなことば

いつしかや異国になじみ友人と会話たのしむ拙なき英語で

友と飲み語れば楽しセブの夜ナイトクラブのやさしい歌声

セブ島の白き浜辺を見下ろして別れを告げる雲の上より

思い出の白き貝を耳に寄せセブの海鳴りなつかしく聴く

家族そろいひさかたぶりの団欒に旅の写真も彩り添える

異国語を学べばたのし美しき世界が見えるわれらはひとつ

ものくれと痩せたかいなを突き出して挑むまなざしセブの子あはれ

飢えた子の哀しき瞳はいつまでも心に残りさびしかりけり

蒼白き時の流れに身をまかせ息をしている星のかたすみ

朝涼を探して歩む散歩道蝉が路上で仰向けに鳴く

雷鳴に心躍れどわずかなる雨粒おとし雲は過ぎ行く

陽炎の燃える暑さや夏帽の庇は涼し赤とんぼ行く

学びつつ旅する人生いつまでも心うきうきコスモスゆれる

ひさかたに雨の音きく障子戸を開ければ闇にひしめく葉音

競争の悪しき世界に身をさらしこころ曲げるな美しくあれ

蝉時雨ききつつ歩む田舎道草に落ちたるわが影あわし

あかかと沈む夕日を眺めつつ過ぎゆく夏を愛おしみたり

風騒ぐ木立に入りて目を閉じる葉ずれの音に遠き日思ふ

白花の夾竹桃のもとにきて夏の終わりの蝉の声きく

旅すればそこがふるさとしみじみとなつかしきかな異国の町も

なにゆえに争いごとの絶えざるや人のこころに棲みつく鬼たち

(今日の一首)

雨にぬれ風に吹かれてゆく道もこうべあげればたのしき人生


橋本裕 |MAILHomePage

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