橋本裕の日記
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2007年08月07日(火) アレグレとジセールの家

 8月6日(月)はセブ島の祝日で、学校もお休みである。三連休最後のこの日は、7時にCPILSに集合し、私とMさん、ジセールとアートの4人でセブ島北部にあるリゾートのアレグレに行った。セブバスターミナルに行くと、あいにくバスが出た後だったので、ミニバスに乗ったが、2時間あまり乗って、料金は一人40ペソ(約110円)である。バスと変わらない安さだった。

 バスを降りて、ホテルの前まで4人乗りのトリシクルを使った。帰りはジムニーを乗り継いでセブに帰ってきたので、今年はタクシー、バス、ミニバス、ジムニー、トリシクルと、セブの地元の乗り物をすべて体験したことになる。タクシーを除けば、どれも驚くべき安さである。

 アレグレはちょっとした高級リゾート地で、宿泊施設はマラパスクアのビラとは天と地ほど違う豪華さである。一泊すると一室6000千ペソは必要になる。私達はデイ・ステイだけだが、それでも一人当たり1千200ペソもした。

 マラパスクアの格安旅行のあとだけに、これは恐ろしく高いように感じたが、必ずしもそうでもない。この中には800ペソ分の豪華なランチ代が含まれているからだ。その上、広大なプールで泳いだり、ハモッグに揺られて昼寝をしたら、宿泊客並みのサービスをすべて味わうことができる。ちなみにアレグレというのは、「喜び」という意味のスペイン語らしい。

ランチのメニューは各自自由に選ぶことができた。私達が選んだのは海老、イカ、豚肉料理を一品ずつと、焼き蕎麦である。これに4人で分け合い、各自にはマンゴーシェイクなどのドリンクをつけてもらった。料理はどれも洗練されていて、とてもおいしかった。

このホテルのシェフが挨拶に来たが、ジセールの幼馴染だという。それから接客にやってきたホステスもジセールの高校のクラスメートだった。少し前まで、ジセールのいとこの女性もここで働いていたという。ジセールのホームタウンはこの近くらしい。

しかし、ジセール自身はこのホテルで食事をしたことはないという。ここは地元の庶民には一生涯手の届かない別天地なわけである。今回、一緒に来たアートも、「もうここで食事をすることはないだろう」と言っていた。そして「とてもよい記念になった」と私達に感謝してくれた。私達にとっても、こんな豪華な体験をするのはセブだからできるわけで、日本では不可能だろう。

私達は食事の後、席を移動して、海の見えるテラスでゆっくりコーヒーを飲み、アイスクリームに舌鼓を打った。近くの席では白人の男性がゆっくり本を読んでいる。プールサイドでは中国人の家族や、アメリカ人とおぼしい家族が遊んでいる。異国の言葉が飛び交う中で、どこにもフィリピン人客の姿はない。

 食事のあと海岸に下りて、一泳ぎした。それからプールでも泳いだ。泳いだあと、私はジセールにプールサイドに立ってもらって写真を撮った。ジセールは来年の4月にはニューヨークの夫の元に行く。来年はもうこうして食事をしたり旅をすることができないのかと思うと、娘を失った父親のような気持ちがして少し寂しい。それだけにこのひとときがいとおしく感じられた。

 3時過ぎにホテルを出て、トリシクルを20分ほど走らせると、ジセールのホームタウンだった。ジセールが小学校まで暮らしていたという家に案内され、そこで私達は少し早い夕食をごちそうになった。ホテルの豪華な料理もよかったが、ジセールの家で出された鳥料理やスイカのデザートもおいしかった。

ジセールにおば達や少し前までアレグレで働いていたというケイといういとこの女性を紹介され、私達は一緒に食卓を囲んで、談笑した。私がジセールが去年わけもわからず口にした危ない日本語「やらせてください」を紹介し、みんなで笑った。なんだかもうすっかりジセールの大家族の一員になったようなくつろいだ気がした。

(今日の一首)

 あたたかな人の心にいくたびも
 触れ行く旅はたのしくあるかな


橋本裕 |MAILHomePage

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