橋本裕の日記
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2007年08月05日(日) マラパスクア(1)

 前日、私の2年越しの夢であるマラパスクア島に行った。8時半ごろ、昨年度のMさんの先生のミミとライアン(ミミの恋人)がディプロマット・ホテルへやってきて、ホテルの前でタクシーを拾い、まずは北部バスターミナルへ。70ペソ(180円)ほどかかった。ここでバスに乗りかえて、一路、セブ島最北端の町、マヤ(Maya)を目差した。

マヤまで3時間半ほどかかったが、途中の景色がよかった。最初は右側に海がみえ、やがて椰子の木の茂る山のなかの道になる。バスは満席で、途中から立っている人もいたが、涼しい風が満開の窓から吹き込んでくるので、暑さは感じなかった。

 モアルボアルのときも驚いたが、3時間半のバスの料金が60ペソ(150円)しかしないことである。さらにマヤからマラパスクアまで30分ほどの船旅をしたが、この舟の料金がなんと40ペソ(100円)である。あわせて、100ペソ(270円)で目的地の島までたどり着いてしまう。この安さには驚いた。

 私達の乗ったバスはエアコンはついていなかったが、エアコンつきのバスは、100ペソ増しの160ペソである。これでも十分安い。ただしエアコンがききすぎて寒い思いをすることがある。これにたいする備えさえあれば、この快適バスで旅行するのもいいだろう。

 さて、マラパスクア島につくと、白い浜辺に、転々と小さなビラが建っている。私達はその一つに落ち着いた。私達のビラは2つの部分に仕切られていて、それぞれの部屋には2つのベッドと浴室やトイレ、ベランダがついている。一部屋600ペソだから一軒まるごと借りても1200ペソ(3200円)である。これだけで4人が宿泊できる。これも夢のような安さだ。

 つまり、セブからマラパスクアまで、往復の交通費と宿泊代金をあわせて一人当たり500ペソ(1300円)である。私達はミミとライアンの分も分担したので、二人分1000ペソ(2700円)を使ったが、これでも驚くべき安さだ。

 ビラの近くの「ギンギン」というレストランで遅いランチを食べたあと、のんびり目の前に椰子の海岸を眺めてベランダでくつろいでいると、また男がやってきて、「舟で一艘用意するので、それで3時間ほどかけて島を一周しないか」いう。値段を聞くと「800ペソ」だという。あと一人あたり100ペソだせば、シュノーケルを用意するから、海で魚や珊瑚を見ることもできるという。これはぜひ体験したかったので1200ペソ払うことにした。

 途中、舟を泊めて、「ここで海に入れ」というので、さっそくシュノーケルをつけて海に入った。色鮮やかな熱帯の魚が無数に泳いでいて面白い。すでに私は2年前にマクタン島の沖でアイランドホッピングを体験していたのでその面白さは知っていた。そこで残りの3人にも勧めたが、案外なことに、Mさんもミミもライアンも泳げないのだと言う。そして海に入ろうとしない。

 そこで沖合いでの海底散歩はあきらめて、舟を小さな入り江につけてもらった。ここなら足が着くので、残りの3人もたのしめそうだ。シュノーケルをつけて海底をのぞいてみると、果たしてきれいな魚達が泳いでいた。Mさんはこれまで顔を海につけたことはないそうだが、おそるおそるシュノーケルをつけて、覗きはじめた。「熱帯魚みたい」と声をあげ、まだしぶっているライアンやミミを促した。ライアンもようやくシュノーケルをつけて、面白そうに海中を覗いていたが、ミミは最後まで水着のまま砂浜で私達が遊ぶのを眺めていた。

 このあと、私達は島の反対側に回り、夕日が沈むのを眺めた。こうして3時間が夢のように過ぎ、私たちは大満足して、ビラに戻ってきた。それから、夕闇の迫る海辺の道を散策し、ギンギンで夕食を食べた。夕食の席で私はライアンとミミにこう話した。

<I know you tow want to shear one room. But we tow are not wife and husband, not lover, just friends. So we can’t shear one room. I and Rain shear one room, OK?>

恋人のミミとライアンはこころよく同意してくれた。それから私達は再び海岸を散歩し、波打ち際に座って時を過ごした。ミミとライアンは高校の同級生で、交際をはじめてもうすぐ7年になるという。ライアンは父親が病気で家が貧しく大学へは進めなかった。今は彼が働いて高校生の弟の学費を家に仕送りしているのだという。

「いつ、2人は結婚するのか」と聞くと、「5年後」という答えが返ってきた。ライアンは弟を大学に通わせてやりたいと思っている。弟が卒業するまでは仕送りを続けなければならないので、結婚は5年後になるそうだ。

二人はこんな状態なので、余分なお金を使うわけにはいかない。ミミもライアンも泳げないのは海で泳いだことがないからだ。こんな保養地に二人で来るなどということも初めてだという。ライアンはこの贅沢な体験を夢のようだといい、「unforgettable time」という言葉を何度も口にした。そして「thank you」を私達に連発した。

私とMさんはそんな熱々の二人をそっと海岸の闇の中に残して、ビラに帰ってきた。Mさんは二人の結婚式には是非出席したいと言う。そして子どもが生まれたときには、名付け親になってやるのだという。ミミとライアンを自分の娘と息子のように考えている。私も彼らの様子を見ていると、なんだか自分の息子と娘のように思えてきた。そして心から応援してやりたくなった。


(今日の一首)

 浜辺にて夜空を見ればひさかたに
 天の川見る椰子の葉陰に


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