橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2007年07月23日(月) 旅は道連れ

名古屋空港でMさんと一緒になった。去年はマニラ空港で偶然CPILSの生徒だとわかり、一人で不安を抱えていたMさんはずいぶんほっとしたようだった。今年は名古屋空港から私と一緒だし、セブへ行くのも2回目だからずいぶんリラックスした様子だった。

私も3回目で、ずいぶんリラックスしている。その分、一年ぶりの海外旅行だと言うのに、思ったほどの感動も感激もない。飛行機に乗るだけで不安と緊張にどきどきした2年前がなつかしい。人間はこうして環境に慣れてしまい、あらたな刺激を求めるようになるのだろうか。

名古屋からマニラまで約3時間半である。機内食を食べ終えた後、持参した「The Dignity of the Nation」を読んだ。これは藤原正彦さんの「国家の品格」の英訳本である。藤原さんの原文もついているので、分からないところはこれを参照しながら読むことができる。たとえばこんな具合である。

<I find the idea that a company belong to its shareholders a terrifying piece of logic. A company belongs to the staffs who work in it --- that goes without saying ---and the shareholder are just one group among many stakeholders.>

(「会社は株主のもの」という論理は、私には恐るべきものに思えます。会社は、言うまでもなくそこに働く従業員のもので、株主は多くの関係者の一つくらいの存在でしかない)
 
 藤原さんは数学者である。それでいて政治、経済、文化、教育、すべてのものに関心を持ち発言をする。その主張はおおかた私の考えに近いので、この本を読むと、「日本語でこういいたいときには、英語でこう表現すればよいのだ」ということがわかり、大いに参考になる。これをこの3週間で読破できればと思い、機中でも読みふけった。

 読書に疲れて一休みする間に、となりのフィリピン女性に「名古屋にお住まいですか」と、日本語で話しかけた。彼女が隣に座ったとき携帯電話で流暢な日本語を話しているのを聞いていたので、英語を使うまでもないと思ったからだ。

「住んでいるところは、一宮です」
「私も一宮ですよ。一宮のどのあたりですか」
「市役所の近くです」
「お仕事も一宮ですか」
「いいえ、江南のお店で働いています」
「高いのですか?」
「そうですね。1時間4千円くらい」

 彼女の名前はシレッグ。日本に来て、3年目だと言う。今回は父親が入院したので、そのお見舞いの里帰りのようだった。私が英語の勉強でセブに行くと知ると、「偉いですね」と褒めてくれた。彼女は小学校から英語を習っているので、もちろん、だれとでも普通に話せるという。

「今度、教えてくれませんか」
「いいですよ。お昼はいつも空いています」
「私もお昼の方がつごうがいい」

 というわけで彼女の携帯電話の番号を教えてもらった。本当に彼女から英語のレッスンをうけるかどうかは、妻にも相談して許可をもらう必要がある。他に英会話に興味のある人を誘って、集団レッスンということにしたほうが無難かも知れない。

 マニラ空港でセブ便を待ちながら、この話をMさんにしたら、彼女も参加したいという。Mさんは中学校の先生だから、そうなると土曜日か日曜日のお昼ということになる。彼女のほかにも参加者を募って、土曜日の午後に2時間ほど一宮駅の近くの喫茶店で、シレッグ先生から英会話を教わる教室を立ち上げてもいいかなと思った。考えてみれば日本にはたくさんのフィリピン女性が出稼ぎに来ている。彼女達のなかにはそれなりに知的レベルの高い人もいるはずだ。

3時にマニラを飛び立つ予定が、どういうわけか4時ごろになった。セブへ着いたのは5時頃だった。CPILSの車でディプロマットホテルまで送ってもらった。そのあと、Mさんとロビンソンデパートへ行って、買い物をし、近くのレストランで食事をした。あいにく私はペソの持ち合わせがないので、彼女から500ペソ(約1400円)を前借した。

レストランの名前はカサベラーデで、去年も、一昨年もここに何度も来ている。この店はパスタも美味しかったが、お薦めはリブステーキである。これにガーリックライスと濃厚なマンゴージュースをつけて、一人あたり200ペソ(約480円)だった。この安さとおししさにまずは二人で感激した。

ホテルへ帰ってきて、シャワーで汗を流した後、さっそくパソコンルームへ持参のノートパソコンを持ち込んだ。しばらくがんばってみたが、どうしてもつながらない。だれかに聞こうと思ったが、あいにくまわりは韓国人ばかりなので気後れがした。

結局持参したパソコンでのインターネットはあきらめて、ホテルの備え付けのパソコンを使い、私のHPの掲示板に「無事にセブに着いた」という短い書き込みをしておいた。部屋に帰り、しばらくテレビを見たあと、11時にはベッドに入った。例によって10分ほどで眠りに落ちた。

今朝の起床は4時23分である。さっそくこの日記を書いた。現在の時刻は5時32分である。ホテルを出るのは7時30分頃なので、まだ2時間ほど時間がある。昨日買ったマンゴウでも食べ、そのあとマンゴージュースでも飲みながら、「The Dignity of the Nation」の続きを読もうかと思っている。

(今日の一首)

 一人旅なれどいつしか二人旅
 そして無数の出会いもたのし


橋本裕 |MAILHomePage

My追加