橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2007年07月18日(水) カンニングさせる教師

 昨日の朝日新聞の報道によると、東京都足立区が昨年春実施した学力テストで、14校の小学校と4校の中学校で、障害などがある生徒・児童を学力テストの答案を採点の対象から外していたという。さらに5つの小中学校で、前年のテストのコピーをとって事前練習を繰り返していた。これは足立区の教育委員会が禁じていたことだった。

 さらに1校の小学校では、校長と教員5人がテスト中に誤答の生徒に合図までしていたのだという。これは学校の平均点を上げたいためだろう。おかげでこの学校の成績は前年からはね上がってトップになったというが、学力テストは何ために行うのか、その本来の趣旨から逸脱している。

 これに類したことは私も体験した。たとえば統一模試の点数を上げるため、ある社会科の先生は事前にその問題の一部を教室で生徒に教えていた。その結果、平均点が非常に高くなったが、「どうしたら成績が上がるのか」と、他の学校から問い合わせが相次ぎ、その先生は苦笑していた。

 また、教師の中には平均点を操作する人もいた。これはまだ私が若い頃の体験だが、そのベテランの先生は自分の教えているクラスの平均点が私の受け持ちのクラスの平均点よりも低いとわかると、さっそく答案を回収し、採点をやりなおして、結局、職員会議に提出された結果を見ると、私のクラスより高くなっていた。ここまでするのかと、私は驚いたものだった。

 ちなみに、学力テストを行っているアメリカも、カンニング汚染で悩んでいるようだ。たとえばカンザス州にある公立大学が以前に行った調査(1999年実施)によると、「高校時代にカンニングをしたことがある」と答えた大学生は98パーセントもいたという。米国ではクラスや学校の成績にとって、教師の給料や待遇面で差がつく。学校の成績が悪いと校長の首もすげかえられる。そのため、校長命令で教師が事前に試験問題を生徒に教えて、カンニングを容認する雰囲気があるという。生徒の字体をまねて答案を書き換える教師までいたそうだから、事態はかなり深刻である。

  ニューヨーク市では1999年の暮れに公立32校の教員や事務職員がカンニングにかかわっていたと名指しされ、調査班が解雇や懲戒の勧告を出している。その中には校長や教頭も含まれていて、まさに学校ぐるみだったことがわかる。アメリカでは生徒に上手にカンニングさせることも、教師にとっては必要な能力のようだ。

 先日の新聞に高校でも学力テストを行うと報じられていた。これも何のための学力テストかということをはっきりさせる必要がある。そうしないと足立区のように学校ぐるみで不正が行われることにもなりかねない。日本もまたアメリカのような深刻な事態にならなければよいがと思う。

(今日の一首)

 助け合う社会に生きて善きことを
 競えば楽しみんなほがらか


橋本裕 |MAILHomePage

My追加