橋本裕の日記
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小学生の頃に夢中になったことの一つに電磁石やモーター作りがある。電磁ベルの原理を知ったときには大変感動し、さっそく近所の模型店に行ってベルの組み立てキッドを買ったものだが、モーターの原理を知ったときも、「じつにうまいこと考えたものだな」と感心した。
子供向けの科学雑誌をよむと、そこにいろいろなモーターの作り方が書いてあった。もっとも簡単なモーターは、エナメル線を輪にしたものを磁石の近くに針金の支柱をたてて乗せる。輪にしたエナメル線を電流が流れると、そこに電磁石ができる。そのN極が近くに置いた棒磁石のS極と引き合って輪が回転する。
ここで軸の部分の銅線のエナメルを片面だけそぎ落としておく。そうすると途中でスイッチが切れて電流が流れなくなる。しかし輪はそのまま慣性で半回転する。そうするとまたスイッチが入り、N極が現れて回転する。こうしたことが瞬時に繰り返されて、エナメル線の輪は回転し続ける。
これなら私にでも作れそうである。しかしほんとうに、これで動くのだろうか。私はさっそくエナメル線と棒磁石を買ってきて、自分でこのモーターを組み立てはじめた。数時間で装置が出来上がった。そして電池につなぐと、私の目の前でそれがぎこちない動きをはじめた。
私はおもわず「やった!」と叫んだ。理屈は分かっていたが、その理屈どうりに動いているのを確かめて、私は感動した。それを母や祖母に大威張りで披露したことはいうまでもない。いまネットで調べてみると、当時私が作ったものと同じ簡易モーターの作り方が紹介されていて、その様子を動画で見ることができる。
http://chem-sai.web.infoseek.co.jp/motor.html
私の作った不恰好なモーターは、私には何かの「生き物」のように感じられた。じっと眺めていると、何だかむしょうにいとおしくなってきた。その素朴さが市販のモーターになない生命力に満ちていて、見ていて飽きなかった。私はそれからいくつかのモーターを作ったが、どれもいとおしい子どものようだった。
(今日の一首)
手作りの電磁モーター音を立て きしんで動くいのち宿りて
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