橋本裕の日記
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2007年06月11日(月) 犬と猫は色盲か

 小学生の頃、犬や猫の視覚は人間と違って白黒の世界だと聞かされて不思議な思いがした。同時は映画やテレビが白黒の時代だったから、色のまったくない世界というものも想像はできた。しかしそうした世界しか知らない犬や猫は、気の毒な気がしたものだ。

 実際は犬や猫も多少は色を感じているらしい。私たちの網膜にはcone(錘状体)とよばれる色を感知する細胞がある。錘状体にはそれぞれ光の吸収波長が異なるL錐体(赤錐体)、M錐体(緑錐体)、S錐体(青錐体)という3種類のものがあり、これら錐体の興奮の割合の違いを利用して色を区別している。

 そしてこれとは別に、私たちの網膜はrob(杆状体)と呼ばれる細胞をもっている。そしてこれによって、明暗を感じたり、急激な動きを感知する。錘状体は明るい場所でしか色を感知しないが、杆状体は薄暗い場所でもよくはたらく。犬や猫の先祖はどちらかというと夜行性であり、この杆状体の密度が多い。これによって暗いところですばやく動くものを捉えることができる。

 犬や猫の網膜にも錘状体はまったく存在しないわけではないが、その密度は小さいので、どちらかというと色盲に近いのだろう。実のところ彼らは緑色と赤色の識別は困難であるといわれている。しかし彼らはこれを補ってあまりある暗闇での動体視力や嗅覚、聴覚を持ち、優秀なハンターとして生き残ってきたわけだ。

 ところで哺乳動物の中で「眼の大きさ÷ボディーサイズ」値が最も大きいのは猫だという。実のところ瞳孔を拡大させたときの猫の目は人間よりも大きい。これによって暗闇でも多くの光を感知し、人間の6倍もよく見えているらしい。小学生の私は色盲だという犬や猫をあわれに思ったものだが、そう同情すべき存在でもないようだ。

(今日の一首)

 風景画眺めているとなつかしい
 この色感はいずこより来る


橋本裕 |MAILHomePage

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