橋本裕の日記
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職員室で隣に座っている理科のS先生に、「アルゴンガスは何に使われているのですか」という質問を受けた。S先生は生物が専門である。授業でアルゴンについて教えたところ、「何の役に立つの」と生徒に質問されて立ち往生したのだという。
私は物理が専門だが、実用方面の知識に乏しい。「ネオン管などの放電管ではないでしょうか」と答えながら、さっそくインターネットで検索してみた。そうすると「蛍光灯」に使われていることがわかった。
アルゴンガスを入れたガラス管の中で放電させると、高速度の電子がアルゴン原子に衝突する。このときアルゴン原子から紫外線が放出され、管の表面の蛍光塗料にあたって発光する。これが蛍光灯の発光原理である。ネット検索でこうした情報が得られた。
蛍光灯にアルゴンガスが入っていると聞いて、「すごく身近にあるんですね」とS先生もおどろいていた。アルゴンガスはじつは私たちのもっと身近にもある。空気の成分のうち、窒素、酸素に続いて、3番目に多いのがアルゴンだからだ。じつは二酸化炭素よりもはるかに多量に空気中に存在している。私たちはこれをいつも肺に吸い込んでいるわけだ。ウイキペディアから「アルゴン」について引用しておこう。
<1894年にレイリー卿 (Lord Rayleigh)(ジョン・ウィリアム・ストラット (John William Strutt))が、大気分析の過程で発見。しかし、その100年も前に、ヘンリー・キャヴェンディッシュが存在に気がついていたと言われている。なお、レイリー卿は気体の密度に関する研究、およびこの研究により成されたこのアルゴンの発見により、1904年にノーベル物理学賞を授与された。
アルゴンという名称は、ギリシャ語で「不活発、不活性」という意味のαργ?ν (argon) に由来する。「働く」という意味のεργον(ergon)にanをつけたan ergon(働かない)が語源とする説もある。また、ギリシャ語で「怠け者」という意味のargosが語源とする説もある。
希ガス元素の一つ。常温、常圧で無色、無臭の気体。希ガス元素のため不活性である。融点は摂氏189.2 ℃、沸点は摂氏 185.7 ℃(融点、沸点とも異なる実験値あり)。比重は、1.65(233 ℃ : 固体)、1.39(186 ℃ : 液体)、空気に対する比重は、1.38。固体での安定構造は、面心立方構造 (FCC)。
空気中(地表)に 0.93% 含まれているのでアルゴンは空気を液化、分留して得ることができる(酸素の沸点が近いので、これとの分離が少々面倒)。空気中にアルゴンが存在するのは、自然界に存在していたカリウム 40 が電子捕獲によってアルゴン 40となったためである。
希ガスの中では最も空気中での存在比が大きく、空気を構成する物質では第2位の酸素の 20.93% についで第3位の 0.93% である。第4位は二酸化炭素だが、現在得られる資料では 0.03% でありその差は大きい。
アルゴンは、水銀灯、蛍光灯、電球、真空管等の封入ガス、アルゴンレーザー、アーク溶接時の保護ガス、チタン精練などに利用される。分析化学の分野ではガスクロマトグラフィーを行う際に移動相として利用する。テクニカルダイビングにおいて、ドライスーツ用ガスや混合ガスとして使用される>
このあと、「電波はどうして発生するのか」という質問などが飛び出して、私は昔生徒たちと行ったヘルツの実験の話をした。それから「光とは何か」という話になり、ラジオやテレビのアンテナの話になった。S先生に質問されたおかげで、私も思わぬ勉強をすることになった。
(今日の一首)
かりん酒を朝晩飲んでほろよいの こころよき日々たのしんでいる
咳止めに「かりん酒」がいいと教えられ、少し前からこれを朝晩、オンザロックで飲むようになった。咳は数日前に収まったが、かりん酒は飲み続けている。香りがよく、口当たりもよいので、やみつきになりそうである。
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