橋本裕の日記
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2007年05月31日(木) 今月の短歌

 今日で5月もおしまいである。1月1日から始まった「一日一首」も、これで5ケ月続いた。今日が151首目である。この調子で毎日一首ずつなのしみながら作るつもりだ。毎日短歌を詠むだけの心のゆとりは大切にしたいと思っている。

信州の友より届く花便り少女のおもかげ片栗の花

雨のふる田んぼの道はうすみどり歩けばほのか菜の花けぶる

父が逝き祖母も続いて二人して仲良くわたる三途の河原

父と祖母読経ききつつ偲びたり足のしびれもなつかしきかな

家々に灯りがともる夜の道蛙が鳴けば星もささやく

雨蛙葉っぱの上でみどりいろ風にゆられて眼をとじている 

雨音はしみじみとしてよし風呂上りぶどう酒片手にソファで聴く

わが畑で妻の育てたさくらんぼたった五つをみなで味わう

あかかかと沈む夕日を見ていたり携帯を持つ人のかたわら

真夜中に目覚めてみればハエひとつ鼻から降りて頬を歩けり

田んぼではケリの夫婦がけんめいにヒナを育てて初夏を迎える

風さわぐ木立をゆけばなつかしき友がたたづむ明け方の夢

母の日にうなぎを食べる櫃まぶしたらふく食べて娘が払う

庭の琵琶実も青々とふくらんで黄色に色づくその日は近し

家買えばわれに残らずわが稼ぎため息ついて青き手を見る

父の日はアロハがほしいと妻に言うセブの海にはアロハが似合う

妖しくも燃ゆるものありひそやかにこれをつつしみ善き人となる

人生に恋していたりこの頃は見るものすべて美しきかな

馬酔木咲く水辺を行けばなつかしき君の声する夢から覚めても

タンポポを河原に摘んだ若き日の思い出のなかそよかぜが吹く

かなしみを鈍感力で乗り切って今日もたのしく笑って生きる

くちびるの赤きをみなを思い出す木下道に風そよぐとき

若き日は過ちばかり年を経てわが過ちを知るこころさびしく

雨音を聞きつつしのぶ初めての女の狂気われの十字架

はずかしき思い出多ししかれども青春の日はうつくしきかな

北国の海はなつかし遠き日の空の青さや潮のかをりも

玄関の花瓶の花よもの言わず我を見送りわれを迎える

あちこちで蛙がさわぐ散歩道なにやらおかしい求愛のうた

いつしかも髪の毛白くしわがより父の晩年われに近づく

(今日の一首)

 文を書き短歌をひとつしたためる
 このひと時はいのち華やぐ


橋本裕 |MAILHomePage

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