橋本裕の日記
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昨日は学校でたくさんの失敗をした。まず、試験監督の教室を間違えた。試験開始時間がはじまって、あわてて該当の4年生の教室にたどり着いたが、こんどは試験用紙が大幅に足りない。生徒に聞くと、二教科同時に実施されるのだという。私は自分の教科(数学)の分しか持っていなかった。
そこであわてて、職員室に駆け込んで、残りの教科(国語)の試験用紙を探した。それは非常勤講師が出題した問題で、金庫の中に大切にしまわれてあった。それを持ち帰り、「ごめん、ごめん」といいながら、残りの生徒にようやく配り終えた。そのとき、私の携帯電話が鳴った。試験中は携帯の電源を切ることになっている。
私はあわてて電源を切ると、「君たちも携帯の電源を切るように」と指示した。すかさず生徒達から「先生に言われたくはない」と返されてしまった。ふたたび私は「ごめん、ごめん」と誤らなければならなかった。
考えてみると、私が国語の試験問題を探しているあいだ、教室は数学の答案がくばられたまま、監督者がいない状態になっていた。つまりカンニングのし放題である。さいわいそういう横着な生徒はいなかったようだが、これも対応としては非情にまずいことであった。
試験を終えて、ため息をつきながら職員室に帰ってくると、私の失策で盛り上がっていて、「血圧はだいじょうぶですか」と隣の先生に言われた。「いや、もうすっかりぼけてしまいました」と笑いでごまかすしかない。このほかにも、提出する書類の期限をまちがえるなど、たくさんの失策をした。昔ほど落ち込まなくなったのは、「鈍感力」がついてきたからだろう。
そのあと、去年担任した女生徒と話した。彼女は1年生の最後の数学の試験で100点をとった。そこでごほうびにランチをおごってやったりした。本来はとても元気がよく、勉強もできる生徒だが、最近になって、「先生、もう、学校やめたい」と言いだした。試験も受けなかったし、明日も、明後日も、受ける意志はないという。どうやら嫌なことが重なり、投げやりになっているようだ。
私は自分の失敗談など話し、「人生いろいろあるからな。そんな気分になることもあるさ」と慰めた。何だか自分を慰めているようなしんみりとした口調になった。「一休みするのもいいけど、木曜日の数学の試験は受けろよ」というと、「またランチおごってくれる?」と訊くので、「100点とったらな」と言うと、「今回もがんばって100点とる」と、表情が少し明るくなった。
(今日の一首)
かなしみを鈍感力で乗り切って 今日もたのしく笑って生きる
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