橋本裕の日記
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2007年04月07日(土) |
バウチャー制度を悪用 |
米フロリダ州には、標準テストによる判定で「失敗学校」と認定された公立学校の生徒たちに学費(バウチャー券)を支給し、私立学校へ転校する道を切り開く制度がある。現在、730人の子どもたちが、この制度の恩恵を受けているという。
1月5日に、米フロリダ州最高裁は同州政府が実施しているバウチャー制について、これが「公教育の公平と平等」をうたった州憲法に違反しているとして違憲判決を下した。これに対して、ジェフ・ブッシュ州知事(大統領の実弟)は、州憲法の改正を含むあらゆる法的手段を駆使し、バウチャーの存続を図る方針だという。
もともとバウチャー制度は公教育の統制から子どもたちを解放しようというリベラルな運動として始まった。ところが市場万能主義者のフリードマンがこれを「教育の市場化」としてとらえることで、事態が一変した。おなじく公教育に対する批判でありながら、新保守には貧しい子どもたちを画一的な抑圧的な教育から救うというリベラルの発想はない。
それどころか、共和党の新保守がバウチャーを推進するのは、民主党リベラルの牙城となっている「公教育」をたたき潰したいからだ。その先頭に立っているのジェフ・ブッシュである。彼は公教育に注ぎ込むべき税金を、バウチャー制度を通して、特定の宗教色を持つ私立学校へ注ぎ込む道をつけた。これにたいして、裁判所は違憲だと主張したわけだ。
日本でも安倍首相がバウチャー制度に熱心である。その前段階として統一テストの実施が行われようとしている。これが組合潰しのためでないことを祈りたい。
(今日の一首)
いつの世も辛きこと多し泣きつつも 人は生きたり小手鞠が咲く
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