橋本裕の日記
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働き盛りのサラリーマンや教師が、ある日、とつぜん、「万引き」をして現行犯逮捕される。本人たちには犯行時の記憶がない。なぜ、そんなことをしたのかも分からない。
これは脳の病気による可能性があるのだという。脳の前頭葉と側頭葉の血流低下と萎縮がもたらす「若年認知症」の一種に「ピック症」がある。2月26日の朝日新聞の朝刊にこの「ピック症」が紹介してあった。周囲の状況を気遣わない行動や万引きが症状として現れる人もいるらしい。
中村成信(57)さんは神奈川県茅ヶ崎市の文化推進課長だったが、昨年2月、自宅近くのスーパーでチョコレートやカップめんを万引きした疑いで逮捕された。そして職場を懲戒免職になった。
しかし、どうも話のつじつまが合わない。家族がこれを「おかしい」と感じて大学病院で受診したところ、「認知症の疑いがある」と診断されたという。その後、群馬県こころの健康センター所長の宮永和夫医師によって「ピック症」と診断された。
中村さんのようなケースは少なくないようだ。万引は犯罪である。まして公務員や教師ならば、世間の風当たりも強い。本人だけではなく、家族も肩身の狭い思いをする。失業のあげく家庭崩壊の原因にもなる。宮永医師は、「病気でやった行為なのに、社会的な名誉を失い、その後の人生が大きく変わってしまうのは非情に残念だ」という。
若年認知症の患者は96年度の旧厚生省の調査では、2万6千人から3万7千人だという。現在どのくらいか、厚生労働省が調査中だが、かなりの人数になりそうだ。宮永医師は「まじめに仕事をいていた人が、万一万引きをして『なぜ』ということがあれば、ぜひ専門の医療機関を受診してほしい」とも語っている。
(今日の一首)
週末にコッツウオルズに一人旅 絵葉書送ると娘のメール
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