橋本裕の日記
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雪山もかすんでいたり大寒に上着を脱ぎて散歩するかな
身を寄せてプラットフォームで電車待つ少女の息もかぼそく白し
己との対話もたのし独りいていのちの不思議しみじみ覚ゆ
寒風に向かって行けば汗ばみてここちよきかな伊吹山白し
ひさかたに古文を読めばしきしまのやまとことばはうつくしきかな
真夜中に咳がとまらず水を飲むありがたきかなこころ落ち着く
豊橋で昼飯をくう田楽にやっこにおから味噌汁うまし
人々の幸せ願ふ政治家はいずこにありや国の宝ぞ
小夜ふけて停車場を出る乗客を迎えてくれたひさかたの雨
描かれし青い花瓶のカレンダールドンの描く神秘の花々
わが畑の野菜はうましひよどりがまるごと食べるキャベツはくさい
定年後いかに生きるかあれこれとたのしき夢にふけりたるかな
うらうらと照れる春日を身に受けて歩けばたのし命なりけり
母の声はかなく聴こゆ電話口たしかになりてわれは安堵す
イギリスに旅立つ次女にわが夢を託していたり霧の都よ
雨風に散歩はよして湯につかるあたたかきかな朝風呂もよし
ロンドンへ旅立つ娘われに似てどこか抜けてる方向音痴
朝餉どきテレビに映る雪景色なつかしきかなふるさとの冬
雨上がり風に吹かれて逍遥す遠くの山にわずかなる雪
ロンドンの娘のメールまちかねて何度も開くメールボックス
あたたかき日和よけれど花粉症マスクする人ちらほらと見ゆ
早春の畑でモズがミミズ捕るメスに運んでオスはおあずけ
うらうらと照れる春日を身に浴びて歌を唄えば心たのしも
春来れば草木も人も匂ひたつ花のつぼみにやはらかな風
草の露かれは何ぞと問ふ女愛おしきかなはかなきいのち
悠久の時を想えば風さえも生きた化石ぞ太古の言葉
街路樹のこぶしが咲けりうららかな陽射しのなかにほのかにひらく
(今日の一首)
如月も今日でおしまい雪のなき 冬はめずらし何やらさびし
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