橋本裕の日記
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2007年02月28日(水) 2月の短歌

雪山もかすんでいたり大寒に上着を脱ぎて散歩するかな

身を寄せてプラットフォームで電車待つ少女の息もかぼそく白し

己との対話もたのし独りいていのちの不思議しみじみ覚ゆ

寒風に向かって行けば汗ばみてここちよきかな伊吹山白し

ひさかたに古文を読めばしきしまのやまとことばはうつくしきかな

真夜中に咳がとまらず水を飲むありがたきかなこころ落ち着く

豊橋で昼飯をくう田楽にやっこにおから味噌汁うまし

人々の幸せ願ふ政治家はいずこにありや国の宝ぞ

小夜ふけて停車場を出る乗客を迎えてくれたひさかたの雨

描かれし青い花瓶のカレンダールドンの描く神秘の花々

わが畑の野菜はうましひよどりがまるごと食べるキャベツはくさい

定年後いかに生きるかあれこれとたのしき夢にふけりたるかな

うらうらと照れる春日を身に受けて歩けばたのし命なりけり

母の声はかなく聴こゆ電話口たしかになりてわれは安堵す

イギリスに旅立つ次女にわが夢を託していたり霧の都よ

雨風に散歩はよして湯につかるあたたかきかな朝風呂もよし

ロンドンへ旅立つ娘われに似てどこか抜けてる方向音痴

朝餉どきテレビに映る雪景色なつかしきかなふるさとの冬

雨上がり風に吹かれて逍遥す遠くの山にわずかなる雪

ロンドンの娘のメールまちかねて何度も開くメールボックス

あたたかき日和よけれど花粉症マスクする人ちらほらと見ゆ

早春の畑でモズがミミズ捕るメスに運んでオスはおあずけ

うらうらと照れる春日を身に浴びて歌を唄えば心たのしも

春来れば草木も人も匂ひたつ花のつぼみにやはらかな風

草の露かれは何ぞと問ふ女愛おしきかなはかなきいのち

悠久の時を想えば風さえも生きた化石ぞ太古の言葉

街路樹のこぶしが咲けりうららかな陽射しのなかにほのかにひらく

(今日の一首)

如月も今日でおしまい雪のなき
冬はめずらし何やらさびし


橋本裕 |MAILHomePage

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