橋本裕の日記
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いくら栄養分の高い食物を食べても、消化されずにそのまま排出されたら、それは体の栄養にならない。これは精神的な食べ物の場合でも同じである。読書をして、そのときはわかったようなつもりになっていても、「何が書いてあったのですか」と聞かれて、すぐに答えられないようではだめだ。
一般に学習で大切なのは、知識を「インプット」するだけではなく、「アウトプット」することである。「アウトプット」ということは、つまり言葉を口に出して話したり、書いたりすることだ。これができない人は、インプットした知識が、自分のなかで消化され、既存の知識の中に同化されていないわけだ。
私の場合はなるべく読書日記をつけるようにしている。読んだ書物について、自分なりに了解したことを書き残しておく。そのためには内容をしっかり理解しなければならない。そして、それを自分の言葉でもう一度組み立てなおす。本当に理解するためには、知識を自らの力で検証し、これと対話しながら、新たに再構成してみることが重要だ。こうした過程を通して、ほんとうの思考力が養われていく。読書の醍醐味も体験できる。
与えられたものを一度分解し、そして自分で一から組み立ててみる。しかもこれを自分自身の経験の大地の上に、自らの力で組織すること。こうして再構成され、自らの内部で体系付けられた知識は、もはや他人の借り物ではない。それは自分の人生観や世界観の一部になっていて、自在にこれを取り出してきて、他人にも語ることができる。日記はこうした知的な訓練をする作業台としても役立つ。
(今日の一句)
わが畑の野菜はうましひよどりが まるごと食べるキャベツはくさい
妻が管理する畑に、ヒヨドリの大群が飛来するようになった。無農薬の野菜がおいしいのか、キャベツや白菜を丸ごと食べる。キンカンは全滅。怖いもの知らずのギャングたちである。困ったものだ。
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