橋本裕の日記
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相変わらず体調が悪い。咳が出て、のどが痛い。こんなにひどい風邪をひいたのは何年ぶりだろう。おそらく10年ぶりくらいではないか。困ったものだ。
風邪をひいて何が困るかというと、人に移すのが困るのである。私のクラスには欠席が多くて、もう一日も休めない生徒が3人ほどいる。その3人は首の皮一枚になってから、驚異的ながんばりで学校に通い始め、授業も休まなくなった。もし、私が彼らに風邪をうつしたらたいへんである。彼らの人生を変えてしまうかもしれないからだ。
それに、そうした生徒は私のクラスだけではなく、他のクラスにもいる。授業に行ってうつしたらもうしわけない。それから生徒に移さなくても、職員室で他の先生に移しても困る。私を震源地にして、学校に風邪が蔓延したりしたら、大変なことである。
これを避けるには、学校を休めばいいのだが、これができない。そこまではひどくはないからだ。それに、やはり一日も休めない生徒を3人もかかえていると、家にいても心配である。授業開始前に教室に行き、まずは彼らが来るのを待つ。来るのが遅いと不安になり、携帯で連絡する。
「今どこにいる?」 「先生、今、地下鉄降りたところ。もう、駄目かもしれない」 「馬鹿、あきらめるな。全速力で走って来い」
胸騒ぎがして、1時間ほど前に一人の生徒に電話をしたこともある。なかなか電話に出ないので切ろうとすると、「先生、いま何時?」と、寝ぼけ声が聞こえた。時間を告げると、「やばい」という。ひとねむりするつもりが、寝過ごしたらしい。あと少し私の電話が遅れていたら、もうおしまいという瀬戸際だった。「先生、おかげで助かった」とその生徒から感謝された。
23人で始まった1年生の私のクラスも、6人が脱落していまは17人である。何とかこれ以上の脱落者を出したくはない。ここまできたら進級したいという必死の思いは生徒にもある。あと2週間を乗り切ればいい。ゴールを目前にして、一番の大敵は何か。それは「風邪」である。
じつは風邪をうつしてはいけない相手がもう一人いる。来週の土曜日から1ケ月イギリスに英語の勉強に行く次女である。彼女に移したりしたら、そして彼女がホームステイ先の老夫婦に日本の風邪をうつしたりしたら、これも大変である。
体調管理に気をつけよ、嗽と手洗いをしろ、栄養を取って、しっかり睡眠をとれ、などと言っていた私が、一番に風邪を引いた。なんだか申し訳ない。恥ずかしいことである。幸い明日から3連休なので、ここで気合をいれて風邪を退治してしまおうと思っている。
(今日の一首)
小夜ふけて停車場を出る乗客を 迎えてくれたひさかたの雨
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