橋本裕の日記
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| 2006年12月18日(月) |
借金をなくす簡単な方法 |
夕張市が14年振りに財政再建団体になった。職員の大半をリストラし、残った職員も大幅な賃金カットをするという。病院や土地など市の共有財産は民間に切り売りする。学校も統合する。そしてそれでも残った負債は、住民の税金で何年もかかって返却していくのだという。
この市や政府の方針に、住民が怒っている。医療や教育などの公共サービスは大幅に水準が下がり、生活保護費も下げられる。お金持ちは夕張市から逃げ出せばよいが、住民の多くはそれもできない。市はますます税収を失い、過疎化してゆく。これでは無限地獄ではないか。
夕張市で起こっていることは他人事ではない。2006年末で地方債の残高は204兆円をこえる。あすは我が身の問題なのだ。しかも国も厖大な借金がある。夕張市の現状は、近未来の日本の姿でもある。
政府は地方のことは地方で責任を取らせる方針で、ちかく地方自治体の「破産」を認める地方自治体破綻法を成立させたいようだ。もはや国の財政赤字で手いっぱいなので、地方のことなど構っていられないということらしい。
しかし、そもそも地方の赤字が膨らむことになった元凶は中央政府にある。日本は80年代にアメリカと日米構造会議をおこない、91年から2000年までの10年間で430兆円の公共投資をおこなうことを約束した。
この公約を実現するために、90年から「地域づくり推進事業」、93年から「ふるさとづくろ事業」が地方債の発行を財源にして行われた。
もちろん地方債は勝手に地方が発行できるものではない。都道府県と政令指定都市の場合は総務大臣の、その他の地方自治体の場合は知事の認可が必要である。というより、総務省が財務省と計って地方債発行の計画をつくり、下に降ろしていたというのが現状である。だからこうして発行された地方債には暗黙の内に「国家保証」がついていた。
国の指導でこうして大量に発行された地方債がいま地方自治体の首を絞めている。ここにきて「国家保証」をなしにする、借金は「自己責任で」と言われては立つ瀬がない。今頃になって、都合良く地方分権をいわれても納得できない。そこで住民が怒りだしたわけだ。
地方を借金漬けにした責任の大半は政府にある。この認識に立てば、解決法は一つしかない。それは地方債をすべて国が買い取るのである。そうすれば地方自治体は借金が0になり、住民は救われる。
しかし、それでは国が破綻するではないかと人は言うだろう。たしかに夕張市のすがたは日本の近未来である。そこで、どうするか。ここに簡単明瞭な解決策がある。国債をすべて日銀に買い取らせるのである。これで国の借金は0になる。増税の必要もないし、社会保障を削減する必要もない。これで国民が幸福になる。
ところが日本の政治家はこの簡単なことができない。できないのは、「できない」と思い込んでいるからだ。「前代未聞だ」「慣例がない」というだけで「むりだ」と思い込んでいる。
アレキサンダー大王ならこのゴルディオスの結び目を簡単に切断したことだろう。おそらくく田中角栄級の政治家ならこれをやるかもしれない。しかし、現在の日本の政治家は小粒な上に頭がかたい。そして政治家だけではなく、多くの学者や国民も又、この簡単なことを、とほうもなく難解な問題だと考えている。
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