橋本裕の日記
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2006年12月13日(水) 生存権を脅かされる人々

 12月5日に国連大学世界開発経済研究所が「世界の個人の富の情況」を発表した。これによると、1人あたりでは米国や欧州、産油国をも上回って、日本が世界でもっとも豊かな国だそうだ。

 世界中の家計の富を合計すると125兆ドル、1人あたり2万500ドル(276万円)だが、日本人は18万1千ドル(2千万円)でアメリカの14万4千ドルを上回っている。もっともこれは為替レートでの計算で、購買力平価で計算すると、スイス、米国、英国などを下回っているという。(6日朝日新聞夕刊)

 こうした豊かな国がある一方で、1人あたり180ドルのコンゴや、190ドルのエチオピアという貧しい国がある。その格差は1000倍もある。世界の約半数をしめる貧しい人々は、世界の富の1パーセントしか所有していない。反対に世界の成人人口の1パーセントが、世界中の家計の富の4割を所有しているという。

 また、アメリカや日本のような豊かな国でも、こうした格差がひろがっている。厚生労働省の「所得再分配調査」によると、02年の上位2割の高所得者層の税引き前所得は、下位2割の低所得者層の同所得の168倍に拡大したという。これは80年代前半までは10倍程に過ぎなかった。いうまでもなく、わたしたちの日本国憲法は25条で次のように規定している。

(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 All people shall have the right to maintain the minimum standards of wholesome and cultured living.

(2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 In all spheres of life, the State shall use its endeavors for the promotion and extension of social welfare and security, and of public health.

 この憲法の規定を実行するために、社会保障制度があり、生活保護法が設けてある。ところが厚生労働省は来年度予算で生活保護費を400億円削減する方針だという。格差が拡大するなか、生活保護を受ける人たちが増大しているにもかかわらず、これを削減してだいじょうぶなのだろうか。

 今年度、銀行は過去最高の利益をあげた。しかし、大手行はいずれも法人税を納めていない。にもかかわらず、三菱東京UFJは9年振りに政治献金を再開するのだという。みずほファイナンシャルグループや三井住友銀行も検討中らしい。こうした政治献金があるかぎり、日本の政治は庶民にやさしいものとはならないだろう。

(参考サイト)
  http://www.masakatu.net/masakatu/column.php?id=10


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