橋本裕の日記
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| 2006年11月30日(木) |
ニュースにならない死者たち |
今わが家の居間には、ユリと菊の花が活けてある。これは妻と娘がリリオの命日の27日に買ってきて活けたものだ。ユリの香りがほんのりと匂う。なぜユリの花かというと、リリオという愛犬の名前がユリを連想させるからだという。じっさいリリオのことを娘たちはリリーと読んでいた。もともと名前がユリの花からきているわけだ。
花の活けられた花瓶のかたわらには、生前リリオが使っていた二枚の皿が空のまま置かれている。一枚にはドッグフードを入れ、もう一枚には水が入っていた。一緒に飼っていたウズラのハルちゃんも、ここで一緒に食事をしていた。リリオの餌のドックフードが好きだったようだ。ハルちゃんが餌を食べても、リリオは怒ったりしない。仲のいい犬と鳥のこんびだった。
11月27日にリリオが死んで、ほぼ一ヶ月後に今度はハルちゃんが死んだ。クリスマスイヴの12月25日がハルちゃんの命日である。2匹ともいなくなって、わがやは急にさびしくなった。しかし生き物には寿命がある。リリオもハルちゃんもずいぶん長生きし、天寿を全うした部類である。家族の愛情につつまれて、恵まれた一生だった。そう、考えて自らを慰めるしかない。
愛犬の命日くればユリの花 ありしをしのび居間にかをれり
ところで、世の中には天寿を全うできない人たちが大勢いる。イラクでは毎日100人もの市民が殺されている。そして世界では現在、数千万人が飢餓に瀕しているという。日本でも昨年度は1354人の人が殺されている。そして3万人を越える自殺者の数だ。いきなり身内や友人を奪われた人の嘆きはいかばかりだろう。
最近いじめによる子どもの自殺がメディアに取り上げているが、おなじ日本で毎日100人近くもある自殺者は、ニュースにならない。ありふれたことなので、報道する価値がないのだろう。しかし、報道されないからといって、無視されていいわけではない。
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