橋本裕の日記
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| 2006年11月16日(木) |
恐るべし、タウン・ミーティング |
14日の衆議院教育基本法特別委員会で、社民党の保坂展人議員が、政府主催のタウン・ミーティング(TM)で、内閣府が事前に用意していたサクラの質問者に5千円の謝礼金を払っていたのではないか政府を追及した。(15日の朝日新聞)
保坂議員によると、内閣府が広告会社と結んだTMの請負契約書には、02年度から05年度までの契約書に「民間人有識者謝礼金3万円」「依頼登壇者謝礼金2万円」「その他の協力者謝礼金5千円」との記載があるという。保坂議員は「その他の協力者」というのがサクラではないかと質した。
これについて、塩崎恭久官房長官は15日午前の記者会見で、政府主催のタウンミーティング(TM)で、質問依頼の謝礼を、2002年度から04年度の3年間で計65人に支払っていたことを明らかにした。
塩崎氏は「あらかじめ代表発言(する人)を選んでいる時がある。司会者が明確に紹介するなど、オープンな役割を担っていただいている人に対する謝礼金であり、やらせ質問に謝礼金を払ったわけではない」と強調、問題はないとの認識を示したという。(11/15の東京新聞)
しかしTMで「やらせ質問」があったことは事実のようだ。11/11の沖縄タイムズの社説「これで教育改革なんて」から、一部を引用しよう。
<タウンミーティングは国民の率直な意見を聞く場なのに、内閣府が教育基本法の改正に賛成する質問をするよう出席者に依頼していたという。「やらせ」が明らかになったのは、今年九月の青森県八戸市を含む八回のうち五回。最初に実施された二〇〇三年十二月の岐阜県岐阜市、〇四年五月の愛媛県松山市、同十月の和歌山県和歌山市、同十一月の大分県別府市でのミーティングである。
世論を誘導する意図があったかどうか明白ではない。が、少なくとも改正に全力を挙げている政府・与党の姿勢を考えれば、誘導を試みたと受け取られても仕方がない。
内閣府の担当官は、府内で準備した質問案を発言者が自分の意見として述べるよう依頼し、丁寧にも棒読みを避けるよう念押ししたという。当日は、無作為に質問者を選んだかのように装って発言を求めている。実に狡猾で、恥ずべき行為と言っていいのではないか>
大分県では政府の質問案にそって、県教育委員会の4名の職員が「公務員」と名乗って発言している。青森県八戸市では、県や市教委があつめた教師らが参加者の半分以上を占めていたという。あらかじめ文科省や内閣府と教育委員会が質問事項や質問する際の注意事項まで作成し、これに沿って発言することをサクラの発言者に要請し、その上謝礼金まで払っていたとしたらとんでもないことだ。
tenseiさんが「塵語」に書いていたが、TM1回の開催費用が1100万円というのも解せない話だ。会場費だけで100万円かかったにしても、後の1千万円は何だということになる。広告会社を通してサクラたちに多額の謝礼金が「口止め料」としてばらまかれていたのではないかと疑いたくもなる。
いずれにせよ、この5年間で174カ所、1年間に約35カ所、昨年度だけで、この猿芝居のような会に3億を注ぎ込み、たくみに世論を「偽装」したり「誘導」したりしたわけだ。おまけに買収までしていたとすると、これはれっきとした犯罪である。
政府はこんな犯罪行為を犯し、なりふりかまわず教育基本法法案を強行採決するという。改正の狙いははっきりしている。「平和を愛する心」を削って、国に服従する「愛国心」を吹き込み、日本を権力者のいうがままに戦争のできる国にしたいのである。国の統制を強めて、教育をとおして国民をコントロールしたいのだ。
さらに、NHKの放送内容に対して、総務大臣変更要請命令を発令した。NHKは私たちの聴取料金でまかなわれている公共放送である。これをかってに政府が私物化して貰っては困る。私たちは北朝鮮を外側から眺めていてずいぶんおかしい国だと感じるが、しかし、最近の日本も充分におかしい。
反戦のビラを配っただけで逮捕されたり、卒業式に教員や生徒に国歌斉唱を強要し、起立しなかったということで処分をしたり、こうした強権と理不尽がまかりとおる日本社会の現状にあきれるしかない。もっとあきれるのは、これを異常だと感じない人たちが増えていることだ。これが恐ろしい。
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