橋本裕の日記
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2006年10月27日(金) 受験本位で履修不足

 富山県立高岡南高校で、3年生197人全員が卒業に必要な科目を履修していなかったそうである。学習指導要領では世界史、日本史、地理の3教科から2教科を選ぶことになっていて、世界史は必修となっている。しかし、同校は3教科から1教科だけの選択でも可能とした。

 その結果、世界史を履修していないなど、3年生全員が卒業資格を取得していなかった。そのため、冬季講習などで集中的に補習を行って、どうにか卒業までに単位を得られるようにするのだという。入試対策を重視したためだというが、それにしてもお粗末なことである。

 しかも、こうしたことが全国に広がっているようだ。朝日新聞の調べで、26日までに、北海道、岩手、山形、愛媛、宮崎各県など、少なくとも計13道県(富山を含む)の公立高78校に同様の必修科目の履修不足があったことがわっている。私立も含めると15道県81校になる。分かっているだけで1万人を超える生徒に影響が出そうだという。

 内訳は、北海道(函館市立函館北など3校)▽青森(五所川原など2校)▽岩手(盛岡一、福岡など29校)▽山形(山形北、酒田東など12校)▽福島(福島、橘など10校)▽栃木(真岡など4校)▽静岡(冨士など6校)▽富山(高岡南、1校)▽福井(藤島など4校)▽長野(3校)▽愛媛(今治東、1校)▽福岡(鞍手、1校)▽宮崎(宮崎大宮、1校)

 さいわい、わが愛知県の名前は出ていない。文部科学省の調査はこれからだというから、これからいくつかの学校の名前が挙がるかも知れないが、私が経験した高校ではこうした杜撰なことはなかったように記憶している。

 もっとも、世界史の時間に日本史をしたり、日本史の時間に世界史しか教えない学校はあった。ようするに2年生になったらコースに分けて、受験科目しかやらせないのである。県から視察に来たときは看板に偽りのある授業は見せない。カリキュラム上はまともになっているから、表にあらわれることはない。

 こうしたことは他の学校でも行われていたのではないだろうか。「受験競争に勝たせるためにはやむをえない、そのためにはこのくらいはしかたがない」というのが進学校の本音だろうが、それにしても、学校というのは何と「非教育的」なところだろう。

<追伸>

 27日朝日の朝刊によると、必修漏れは35都道県254校に及び、当初発覚した世界史だけではなく、保健や情報など、多くの科目におよんでいるという。裏カリキュラムの問題も明らかになった。調査が進むにつれて、必修漏れの学校の数はますます増えるに違いない。


橋本裕 |MAILHomePage

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