橋本裕の日記
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| 2006年09月09日(土) |
ナルシシズム国家の行方 |
アメリカは典型的な自己愛型社会だが、日本も最近はふたたび国家的ナルシシズムの傾向を帯びてきた。小泉首相など典型的な自己愛型人間だ。そしてこのタイプの政治家が国民に人気があるのは、それだけ日本社会全体が自己愛型社会の傾向を帯びてきたためだろう。
ちなみに、自己愛性人格障害(ナルシスト)の主な特徴は、ある医療機関のHPによれば次の通りである。
(1)自分の重要性は大変大きなものであると考えている。 (2)限りない成功、権力や才能といったものの空想にとらわれている。 (3)自分が特別な人間であるため、地位の高い人にしか自分は理解されないと思っている。 (4)過剰な賞賛を求める。 (4)自分だけに特別な計らい、特権があると思っている。 (5)自分自身の目的の達成の為なら、他人を利用する。 (6)他人に対する共感の欠如。 (7)他人に嫉妬する。 (8)尊大で傲慢な態度や行動をとる。
http://www.oct.zaq.ne.jp/shionomiya/kokoro/ peasonal/narcissist.html
次期首相の有力候補で、小泉首相の覚えがめでたい安部官房長官も、たぶんに自己愛的な傾向をもつシゾフレ人間(お調子人間)ではないかと見ている。「美しい国へ」などという本を書くこと自体、ナルシシズムの匂いがしている。
安部さんは過去の歴史認識についても口を濁している。そして「植民地支配と侵略」をどう考えるかという質問に対しても、「歴史家にまかせるべきだ」と繰り返すばかりだ。この点、小泉首相をはじめ、歴代の首相とも違っている。かなり札付きの愛国的ナルシストかもしれない。
1995年の終戦50年目の終戦記念日に、当時の村山首相は「日本の植民地支配と侵略」を認め、アジア諸国に謝罪した。この村山談話にしめされた歴史認識を、小泉首相をはじめ歴代の首相は公式に承認している。その内容を一部、紹介しよう。
<わわが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。
私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。>
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html
こうした歴史認識を「自虐的」だと考える人たちがいる。靖国神社への参拝をかかさない安部さんも、その代表格の一人のようだ。過去の過ちを認めたくないのは、自己愛がそれだけ強く、傷つきやすいからだ。そして弱い人間ほど「強さ」にあこがれる。「美しい国」と「強い国」が結びついたとき、この国の将来が心配である。
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