橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2006年08月16日(水) 内視鏡検査の顛末

 昨日は内視鏡検査のために朝食はなし。そのかわりに朝7時に錠剤を4粒飲み、8時から1時間半かけて2000mlの下剤を飲んだ。この下剤の効果は覿面だった。9時頃からトイレに通い詰めになった。さらに指示された通り、スポーツドリンク1000mlを12時頃まで飲み続けた。そうすると、最後は米のとぎ汁のようなものが勢いよく肛門から迸るようになった。

 12時20分に車で家を出て、40分頃には一宮市民病院についた。検査の予約は1時からだったが、その少し前に検査室に入れられた。まずは更衣室で検査着に着替えた。検査着の下は後ろの部分が割れている。検査台の上に横たわると、腕に注射を打たれた。なんでも、腸の運動を押さえる薬らしい。

 そのあと、肛門にゼリーのような油を塗られ、いよいよ内視鏡が挿入された。「個人差がありますが、少し痛いかと思います。あんまり痛かったら、言って下さい」とのこと。強く押し込まれるたびに違和感が募り、痛みもあったが、堪えきれないほどではなかった。それでも二度ほど「痛い」と悲鳴を上げた。

 10分ほどかけて内視鏡の先が大腸を通過し、盲腸に達した。これから内視鏡を抜きながら、大腸の様子を観察するのだという。この段階になると、違和感はあっても、もう痛みはなかった。傍らのモニター画面に私の大腸内の様子が写し出されている。私もそれを医者と一緒に眺めた。

 案外きれいなピンクである。こんな機会でもないと、自分の体内を眺めることはできない。不安と好奇心の混じった、奇妙な感情を体験しながら、私の視線は画面に釘付けになった。やがて、小さなポリープが見つかった。「5ミリほどですね。サンプルを採取します」と医者が告げると、助手がスコープの管の中に、もうひとつワイヤーを挿入しはじめた。

 画面で見ていると、小さな採取装置がポリープを千切り取るのが見えた。そこから血が流れ出している。随分乱暴なことをすると思ったが、痛みは感じなかった。ポリープはもう一カ所見つかった。こちらも5ミリくらいだという。「ポリープは普通に見つかるものですか」と聞くと、「普通というわけではありませんが、よくあることです」という返事だった。

 検査を終えて、トイレに行った。下腹部を中心に違和感が残っていた。トイレで大きなオナラをして、少し楽になった。腕時計を見ると1時を20分ほど過ぎている。長いと思ったが、検査は正味30分もかからなかったようだ。検査結果は8月29日に判明する。今はポリープが良性のものであることを祈るしかない。

 2時頃に家に帰った。それから、「サガミ」に妻と二人で蕎麦を食べに行った。朝食も昼食も食べていないので、腹が減っているはずだが、それほど食欲はない。その上、腸がまだごろごろいっている。それでも食べ始めると、蕎麦はうまかった。蕎麦を食べたあと、喫茶店に行き、アイスコーヒーを飲んだ。そして久しぶりに週刊誌を読んでいると、検査でいっぱいだった頭に、俗世間の風が流れ込んできた。

 家に帰ってから、新聞を眺め、テレビをみた。昨日は終戦記念日である。小泉首相が靖国神社にモーニングを着て参拝したらしい。首相は「個人の心の問題だ」と言っているが、A級戦犯を合祀し、戦前の軍国主義を賛美する宗教施設に、しかもこの日を選んで参拝することが、どんな政治的な意味を持つか、首相はもっと慎重に考えて行動すべきだ。

「終戦記念日ではなく、敗戦記念日と呼ぶべきじゃないのか」と妻にいうと、「敗戦記念日なんてやめてよ。悔しがって、また、戦争がしたくなる人がいっぱい出てくるわよ」という。「それもそうだ。やはり終戦記念日のままがいい」と、私はさっそく自説を撤回した。


橋本裕 |MAILHomePage

My追加