橋本裕の日記
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税金には大きく分けて、資産・所有物にかかる「資産税」、支出にかかる「消費財」、そして収入にかかる「所得税」の3つがある。その比率は日本でおよそ2:2:6になっている。
税金の王様格の「所得税」だが、その導入はもっとも遅く、世界で最初に「所得税」らしいものを導入したイギリスでさえ1799年だった。それまでイギリスは他の国同様、資産税(地租)と消費税(酒税と関税)で財政を賄っていたが、ナポレオン戦争に直面して、戦費調達のために王様がおふれを出して、国民に少しずつお金を出すように要求したわけだ。
これは戦争がおさまった1816年には一旦廃止されたが、1874年に復活し、裕福な国民からその所得に応じてお金を取り立てることにした。いわゆる「所得税」の本格的なはじまりである。
導入当初は、中流以下の国民には課せられていなかった。これによって所得格差を是正しようとしたわけだ。政府がこれを導入したとき、お金持ちは「所得は、国民の消費生活と資産形成の源泉である。所得税は労働意欲を抑制し、経済活動の根幹に害を及ぼし、国力の衰退を招く禁忌である」として反対した。
しかし、庶民はこのお金持ち課税に賛成だった。ロバート・キヨサキさんの「お金持ち父さん、貧乏父さん」から引用してみよう。
<そもそも税金が多くの人に受け入れらるようになったのは、政府が中流以下の人たちに「税金とは金持ちを罰するために課す制度である」という考え方を吹き込んだためだった。国民の多数が税法に賛成の票を入れ、税の取り立てが憲法上認められるようになった背景には、このような事情があった。だが、本来は金持ちを罰することを目的として作られたこの税金が、実際は税の法制化を支持した当の本人である、中流以下の人々を罰するものになってしまった>
<税金の歴史を学ぶと興味深い側面が見えてくる。税の法制化が可能だったのは、金持ちからお金を取ってほかの人にそれを分け与えるというロビン・フッド的な経済論を大衆が信じていたからだ。そうでなかったら決して大衆の支持は得られず、法制化されることもなかっただろう。問題は、ひとたびお金の味を味わった政府の食欲がとどまることを知らず、いくらもたたないうちに中流階級からも税金を取り立てなければならなくなり、そのあと、なし崩し的に次々と課税対象が広がっていったことだ>
イギリスに続いて、アメリカ、フランス、カナダ、ドイツ、イタリアが「所得税」を創設した。日本も1887年(明治20年)に導入に踏み切っている。そして、日本では1940年(昭和15年)、真珠湾攻撃を翌年に控え、さらなる戦費調達のために、「源泉徴収制度」が創設された。これはサラリーマンから有無を言わせず効率的に税金を搾り取る制度として現在まで用いられている。
もともと「お金持ち」のみに課税され、所得の再配分による格差是正をめざしていた所得税が、いま庶民に重くのしかかってきている。政府は庶民からどん欲に税金をしぼりとる。それではお金持ちどうか。実はお金持ちは私たちが思っているほど税金を納めていない。税金を納めなくてよいうまい方法を知っているからだ。明日の日記でその手口を紹介しよう。
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