橋本裕の日記
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2006年07月06日(木) 学ぶために働く

 キヨサキさんは、若者に就職のアドバイスするときは、「いくら稼げるか」ではなく、「何を学べるか」で仕事を探しなさい、と教えるのだという。将来を見据えながら、自分はどんな技術を習得したいか、じっくり考えさせる。

 先日、私の学校で進路ガイダンスがあったが、私が担当した「調理師コース」の講師も、同じようなことを言っていた。たとえばA君は月給25万円でチェーンのファミリーレストランに就職した。B君は月収15万円の料亭で働くことになった。A君は週休2日、B君は休めても週に1日だけ。

 さて、どちらを選ぶか。だれしもA君が有利だと思うだろう。ところが、将来性を考えたら、B君の選択の方が正しい。なぜなら、A君は何も学ばない。10年後定期昇給でA君は35万円の月給取りになっているかもしれないが、リストラされたら、それだけの給料で再雇用されることはまず考えられない。

 一方、料亭に就職したB君は、材料の仕込みかたからじっくりと教えられる。安い月給はじつは教育費なのである。10年も経てば彼は一人前の料理人になり、月収は50万円を下らない。腕次第では100万を稼ぐ人もいるという。そして彼は決して失業に怯えることもない。実力のある料理人は引く手あまただからだ。

 目先の高給に惑わされずに、その職場が自分にお金以外に何を与えてくれるか、その職場で自分がいかに成長していけるか、こうした観点で就職先を選べばまず間違いがない。ところが、多くの人は目先の収入にとらわれてしまう。そうした人たちの未来はあまり明るいとは言えない。ふたたびキヨサキの「お金持ちお父さん、貧乏お父さん」から引用しよう。

<私はよく、「いま毎日やっていることの行きつく先はどこですか?」という質問をする。かごに閉じこめられたあの小さなハムスターのように、請求書の支払いのため毎日懸命に働いている人たちは、そのつらい労働が自分をどこに運んで行くか考えたことがあるだろうか? 将来に待っているものが何なのか、考えたことがあるだろうか?>

<「給料をもらって支払いをする」という、一生続くこのパターンに一度はまってしまうと、人間は小さな輪の中で走るハムスターと同じになってしまう。ハムスターは毛の生えた小さな足を猛烈な勢いで動かし、それにつれて輪も猛烈な勢いで回る。でも次の朝になっても、ハムスターがいるのは前と同じかごの中だ>

 現代の多くのサラリーマンは、このハムスターのような生き方を余儀なくされている。「定年」だけが彼を解放してくれるわけだが、しかし、それでも多くの人は死の間際までこの「かご」から抜け出ることはできないだろう。多くの人がこの「かご」の外に出ることに不安を覚え、そして少なからぬ人がかごの中で「過労死」するわけだ。

 どうしてそうなるのか。この悲劇を逃れるためには、キヨサキさんが言うように、私たちは「お金のために働く」のではなく、「学ぶために働く」ことを優先させるべきなのだろう。人間ハムスターにならないためには、ただがむしゃらに生きるのではなく、もうすこし賢く生きる術を身につけることが必要なわけだ。 


橋本裕 |MAILHomePage

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