橋本裕の日記
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日本の538兆円の国債は、そのほとんどを国内の投資家がもっている。民間の金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、保険、年金)が33.2パーセント、政府(郵便貯金、簡易生命保険など)が40.4パーセント、日本銀行が16.6パーセントを保有する。
これに、家計の保有分3.7を加えれば、国内の日本国債保有率は95パーセントを越える。つまり、日本国債の特徴は、海外保有分が5パーセント未満と、極端に少ないことである。国民が直接その資産で国を支えているわけだ。
国民の個人金融資産はおよそ1500兆円ある。その多くは銀行や郵便貯金だが、国民はこうした機関投資家を経由して、間接に株式を買ったり、国債を買ったりしている。また、最近では直接投資をしている人もふえてきた。
企業の株を買うのは、基本的にその企業に投資することである。企業はこうして資金を調達し、事業を展開する。そして従業員の給料を支払い、さらに余分な利益を生みだし、株主に還元するわけだ。
企業の大きさをあらわすのは、発行株の時価総額である。これが少ないと容易に買収されしまうので、どの企業も時価総額をふやそうと賢明である。世界の企業でみると、ナンバーワンは少し前までGMだったが、今はエクソン・モービルである。トヨタは世界9位につけている。
企業が株を発行し、資金を市場から調達するのはあたりまえである。株式は借金ではない。むしろ企業の財産の一部である、資本だとみなされる。そして資本金が巨大であるほど、その企業の価値は高いとされる。
ところで、国債は国が発行する「株式」である。巨大な国債を発行しているということは、それだけ多くの資金を市場から調達し、事業を展開しているということだ。これは国にそれだけ信用があるということでもある。
国もまた企業の一種とみなせば、国債は株式に相当する。そしてその巨大な発行残高は、資本金の巨大さであり、国の信用力の大きさをあらわしているわけだ。こうしたことは、国の財政を家計と比べていてはわからない。
しかし、国の公共的活動を、企業の利殖活動と同じとみなすことに、異論もあるにちがいない。あしたの日記で、もうすこしこの点の妥当性を論じてみよう。
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