橋本裕の日記
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2006年06月11日(日) お金を稼いだ日

 小学校の6年生の頃、自動車に興味を持った。これを自分の手で作りたいと思い、同級生の前田君と村崎君、T君の3人に声を掛けた。さっそく私の家の裏庭に集合して、廃材をつかって、車体や座席を作った。いちおう4人乗りである。

 乳母車を拾ってきて解体し、その車輪を使った。ここまではお金を一銭も使わなかったが、このあと、車体を覆うブリキや心臓部のエンジンなど、ただで手に入れるのはむつかしい。そこで、4人で屑鉄拾いをすることにした。

 近所の屑屋でリヤカーを借り、4人で代わる代わる引いた。めざすところは川向こうの工場である。前田君のお祖父さんが社長をしているという会社である。日曜日で門が閉まっていたが、私たちはそれを乗り越えて侵入した。見つかっても、前田君がいれば不法侵入罪で警察に突き出されることはないだろう。

 途中から雨が降りだしたが、私たちは工場の敷地に落ちている屑鉄を拾い集め、ふたたびリヤカーを引いて帰ってきた。町中を小学生4人がずぶぬれになってリヤカーを引いて歩く姿は、すこし異様だったかもしれない。

 リヤカーを貸してくれた近所の屑屋さんで、それをお金に換えた。当時のお金で数百円の収入だった。みんなで銭湯に行き、パンや牛乳を買って食べた。そうしたら、お金は半分ほどになってしまった。

 しかし、自分たちで力を合わせてお金を稼いで得られたものは大きかった。自分たちでもお金を稼げるのだという自信ができたし、社会勉強にもなった。お金を稼ぐことは大変だということもわかった。はじめてお金を稼いだ日のことは、忘れられないものである。

(参考)
「少年時代」(6.屑鉄拾い)
http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/syounen.htm


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