橋本裕の日記
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今日は「時の記念日」だ。「日本書紀」によると、天智天皇は水時計(漏刻)を作り、日本で初めて人々に時刻を知らせた。それが、671年4月25日だった。今の暦では、6月10日に当たるのだという。
昨日、NHKの「おはよう東海」を見ていたら、時の記念日にちなんだ話題として、岐阜市柳ヶ瀬で「時計修理専門店」を営む中川立さんが紹介されていた。中川さんは長いこと時計屋をいとなんできたが、時代が変わり、100円ショップに時計が並ぶようになって、家業をいったんはやめたのだという。
しかし、時計への愛着は捨てきれず、数年前にこんどは「修理専門」の店を開いた。使い捨ての横行する時代、客などこないと思ったが、予想外の修理の注文があるという。中には100年前の置き時計を持ち込む老女もいる。
彼女自身、その時計が動いているのを見たことはないという。しかし、死んだ彼女の母親が嫁入りした頃はたしかに動いていたらしい。そんな古い時計でも、修理するとまた命を吹き込まれて、時を刻みはじめる。
昔の時計は、ゼンマイを巻いても24時間しか動かない。そして、一日に数分は狂う。手間もかかるし、かなりいい加減である。しかし、そんなところがなんとものんびりしていてよい。年間に1秒も狂わない正確さを競う現代の時計にはないおおらかな味をもっている。
私が高校生の頃まで、柱時計のゼンマイを巻くのは私の仕事だった。それが電池時計に変わり、私はその仕事から解放された。役目を終えた柱時計は、どこかに片づけられ、今その行方はわからない。
しかし、今も私の指に、その柱時計のゼンマイを巻くときの頑固な感触が残っている。そしてあの時を告げるときの独特な音色も覚えている。幼い頃、私は時計に夢中になったことがあった。ボール紙でたくさんの時計を作ったものだ。みんな懐かしい思い出である。
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