橋本裕の日記
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年金は「見えない税金」だといわれている。これを「見える税金」にしようというのが、経済産業研究所のいう「年金の国庫負担化」ということだ。これによって、年金未納の問題はなくなる。複雑な年金行政を司る社会保険庁そのものがいらなくなり、無駄な出費がなくなる。
私たち国民の立場から言うと、これまで「年金」として取り立てられていたお金を、税金として収めるわけだが、同じ額を出したとしても、コストが小さくなった分だけ、その見返りが大きくなるわけだ。何も損をする話ではない。
損をするのは巨大な利権を失い、天下り先を失う厚生労働省や、その息のかかった議員や学者たちだろう。だから、彼らはこぞってこれにイチャモンをつけるわけだが、これはぜひ「国民の利益」という見地から断行して欲しい改革である。こうした方向に世論が高まれば、不可能な改革ではないと思う。
年金(老齢年金)は老後の生活を保障するものだ。公的年金は最低限度の生活を保障するものであればよいと思う。一つの案として、60歳以上の国民に一律5万円程度を支給するということでどうかと思っている。あとは個人責任にまかせるわけだ。
もちろん現在60歳以上の人に対しては、これまで現行の年金制度を維持することになる。現役世代でも、これまで税金を支払い続けていた分は、それなりの金利を設定して、すべて本人に返却する。その額は既存の制度が存在した場合と比べて、不利にならないように配慮すればよい。
年金未納の問題は国庫負担化で消滅するが、しかし、未納問題は何も年金に限ったことではない。税金の「未納問題」もまた存在する。年金の不公平感が解消されても、税金の不公平感が存在する以上、ことの本質が変わるわけではない。
年金の国庫負担化に乗り気になれない人たちの意識の底には、こうした税金にたいする不公平感や不信感があるのだろう。年金でも何でも税金にして取り立ててしまえということではいけない。公正な税金のありかたについて、もっと議論を深める必要がある。
私は「郵政の民営化」には反対である。その理由はこれが「国民の利益」にならない改革だと考えるからだ。しかし、年金の税金化にともなう社会保険庁の縮小ないし廃止は、おおいに「国民の利益」になると思っている。本来の改革はこういうものでなければならない。
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