橋本裕の日記
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現在私たちが使っている用紙にはさまざまな規格がある。たとえば、A3,A4、A5というA判や、B3,B4,B5というB判の規格がある。そしてこれらの規格の用紙には、ひとつの面白い特徴がある。
それはそれらの長方形の縦と横の比がいずれも同じになっているということだ。つまり、それらは相似な長方形である。ここでA3を半分に折ればA4になる。B判についても同様である。半分に折っても、大きさは小さくなるが、形は変わらない。
だから、コピー機で縮小したり、拡大して、B4をB5にしたりできる。A判とB判も大きさが違うだけで、形は同じだから、コピーで縮小・拡大して、たとえばB4をA4にしたりできる。これはとても都合がよいことだ。
ところでこうした不思議な性質をもつ長方形ができるためには、縦と横の辺の長さの比がどのようになっている必要があるのだろうか。長方形の縦を1、横をxとおけば、これは高校で習う二次方程式の手頃な問題ということになる。
1:x=1/2x:1 より、x^2(xの2乗)=2、 x=√2
つまり、この長方形は、縦を1とすれば、横の長さは、2乗すれば2になる数、すなわちルート2になる。A判やB判といった紙は、すべてこの「√2長方形」になっているわけだ。
√2という数は、ギリシャで発見された。2500年ほど前にピタゴラスが発見した「三平方の定理」によれば、√2は1辺が1の正方形の対角線の長さに等しい。このことを知っていると、A判やB判の紙が√2長方形になっていることを紙を使って示すことができる。
昨日、二年生のあるクラスで授業プリントが早めに終わったので、「√2の不思議」について話をした。そしてB5の用紙を生徒に渡し、これを適当に折って、縦と横の辺の比が1対√2になっていることを確かめさせた。
√2という数は、意外と身近に潜んでいる。それは私たちが毎日使っている紙にも使われている。二次方程式や、ルートという数が、このように私たちの身近で活躍していることを知れば、数学が苦手だった人も、いくらかは「数学も面白そうだな」と感じるのではないだろうか。
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