橋本裕の日記
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2006年03月08日(水) |
BSEを蔓延させないために |
米農務省は2月17日、牛海綿状脳症(BSE)対策で除去が義務づけられている脳や背骨など「特定危険部位」の混入を防ぐための改善策について報告書をまとめ、日本政府に提出した。
これに対し、農林水産省と厚生労働省はこれを不十分とみなし、3月6日、その原因と再発防止策について、米政府に追加の質問書を提出した。ずさんな管理で背骨を混入させた米国の2施設に米政府が日本向け輸出を認めた根拠や、米政府の検査官の研修態勢などについて問いただしている。
米農務省が4月以降に実施する牛肉処理施設の抜き打ち審査の具体的な方法や、輸出証明を出す政府の検査官の研修・訓練の方法などを詳細に説明するように要求しているという。しかし、こうした日本政府の対応は私にはどうしても合点がいかない。
その理由は、あくまでもアメリカ政府に頼ろうとしている点である。検査員を日本から派遣して、牛肉処理施設を常に監視できる体制をつくることが先決ではないだろうか。日本人の食の安全性を守るにはこれしかないと思われる。日本政府はこの点をまずなによりも強く要求すべきである。
たとえばスイスはアメリカから牛肉を輸入しているが、検査官をアメリカに派遣している。そして食肉工場を指定し、その工場からしか輸入を認めていない。日本も牛肉処理施設を指定制にし、日本人の検査員を常駐させるべきである。多少コストはかかっても、国民の健康を第一に考えるならば、これは当然のことではないか。
ところで、2/9日、北海道BSE対策本部は国内で22頭目のBSE感染牛に「肉骨粉」が供与されていたと発表した。BESの原因は「肉骨粉」が有力視されていたが、今回これを裏付けるような発表になっている。
農水省は2001年9月に省令によって肉骨粉の使用を禁止した。そして肉骨粉によって飼育されたとみられる5129頭の牛を監察下においた。今回感染が確認されたのも、その中の1頭だという。
しかし、この牛の場合も、本当に肉骨粉が原因かどうかわからない。原因は他にあるのではないか。これについて櫻井よしこ氏が週刊新潮連載コラム「日本ルネサンス」にこう書いていた。
<不思議なことがある。22頭目の感染牛が「肉骨粉使用、初の事例」と報じられたように、21頭目まではどの牛にも肉骨粉は与えられていなかったのだ。
肉骨粉が原因とされながら、肉骨粉を与えられたことのない牛ばかりが感染した。つまり、日本のBSEの原因は他にあると考えざるを得ない。事実、感染牛全てに共通するのは代用乳である。・・・
代用乳は22頭の感染牛全てに与えられており、その内の1頭を除く21頭に全国農業協同組合連合会(全農)の子会社、科学飼料研究所の高崎工場が生産した「ミルクフードAスーパー」という代用乳が与えられていた>
しかし、農水省は代用乳を問題にしようとはしない。その理由は代用乳給与牛は100万頭を超えており、これがあやしいとなれば、消費者がパニックに陥り、日本の畜産農家や食肉産業が壊滅するおそれがあるからだという。
櫻井よし子氏は「日本のBSE感染牛は22頭よりはかに多く、それらの牛は闇から闇に消されて行ったと考えざるを得ない」と書いている。国産牛だからといって、必ずしも安全といえないようだ。
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