橋本裕の日記
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2003年07月16日(水) マニフェストと選挙

 最近マニフェストという横文字をよくみかけるようになった。何でもその火付け役は前三重県知事の北川正恭さんだという。「選挙公約」とか「政策綱領」とか訳されるが、ただの公約とは違って、政策を期限や財源付きで具体的に示したものだという。

 イギリスでは選挙の時、マニフェストを国民に示す。それはかなりボリュームのある冊子で書店で市販される。選挙に勝って、政権をとれば、このマニフェストを実行しなければならない。議員も政府もこれに縛られるから、政策本位の選挙が可能になる。

 イギリスの場合、党首を首相とする各閣僚の名簿を選挙前に発表する。日本のように選挙が終わってから、国会で首相に任命された人が一部の腹心と官邸にたてこもって閣僚名簿をつくるということはしない。まして、政権党が党首以外の人物を首相にかつぐなどということはあり得ない。これはマニフェスト違反だからだ。

 したがって同じ議員内閣制といっても、日本とはまるで中身が違っている。実質的には国民が首相を選ぶ訳だから「首相公選制」である。それだけではない。閣僚さえも選挙でチェックできるのだから、「首相・閣僚公選制」と呼ぶべきかも知れない。こうした民主主義の本来の姿に少しでも近づけたいという気持が、マニフェストという言葉を流行させているのだろう。

 小泉首相もまた自民党総裁選で公約を掲げ、再選されれば、それが党の公約となるという考えを示した。これはマニフェストの精神を自民党総裁選に導入しようということで、私はまっとうなことだと思っている。

 ところがこの小泉発言が、党内で猛反発を受けているという。野中広務元幹事長は「首相は独裁者だ」と批判しているというが、これは民主主義がどういうものかわかっていない人の言葉だ。選挙前に政策を発表し、それが支持されて党首になった以上、それを党の公約として実行するのは少しも「独裁的」なことではない。まさに「党内民主主義」にのっとった行為である。

 自民党は郵政事業民営化などを政策の目玉に掲げる「改革派」の首相を党首選で選んでおきながら、その政策を党の公約として採用しないばかりか、これに抵抗している。こうしたことがまかりとおることで、政治がわかりにくくなり、ますます国民から遠いものになっている。

 小泉首相の政策に私は必ずしも賛成している訳ではない。しかし、小泉首相の「政策中心」の政治姿勢には好感を持っている。小泉首相が国民の間で人気を保っているのもこうした新しい政治姿勢を有権者が支持し、共感しているからだろう。開かれた政策中心の政治を実現するために、あえて小泉さんに「独裁者」になってもらいたいものだ。


橋本裕 |MAILHomePage

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