橋本裕の日記
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10.六道輪廻の世界
仏教は人間の心の状態を十に分類して、これを十界とよぶ。つまり、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天の六道と、声聞、縁覚、菩薩、仏の四聖と呼ばれる状態だ。六道は無信仰のものが住む迷いの世界で、四聖は信仰者の住む叡智の世界だと言える。
私たちはたいてい六道の世界に身を置いている。欲望や感情のおもむくまま、情況に一喜一憂して、まことに浮き草のようなはかない生活をしている。仏教ではこれを六道輪廻と呼んでいる。
欲望や感情に支配され、つまらない計算をして、ときには人と争い、ときには幸運を手にして天にも昇るほど幸せを感じていたかと思うと、絶望し、地獄に突き落とされて死を思い詰めたりする。こうして私たちは毎日、希望や絶望を感じ、渇望したり、地位や権力に愛着し、不安におびえたり、ときには幸運に恵まれて有頂天になったりしながら日々をあくせくと暮らしているわけだ。
しかし、こうした生活が本当に幸福な生活だと言えるのだろうか。この世にはもっと別の、清々しくて美しい生き方があるのではないだろうか。不安や絶望のない、魂に落着と安らぎが感じられる光明に満ちた生き方はできないものだろうか。ときにはこうした問いに目覚める人もいた。
その一人が釈尊だった。釈尊は王族だったが、家族や身分を捨てて出家し、様々な修行をしながら、このことをひたすら考え続けた。そして、とうとう「さとり」を開いた。どうすればわれわれ凡夫はこうした迷いの世界を「解脱」することができるのか。釈尊はさっそくこのことを分かりやすく説いた。これが「四諦八聖道」と呼ばれている教えである。
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