橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2003年07月02日(水) 自由に適さない人

 北さんの娘さんが、岐阜県の中学校で教育実習を体験した。その様子が北さんのHPに書いてあるので、引用させていただく。

<昨日、中学で教育実習をしている娘は10時半に帰ってきた。担当教官に「ご指導」を受けていたのである。このところ、連日8時過ぎ。聞くと、7時ごろから毎日のように会議があって、それが終わってからしか「ご指導」がされないようだ。先生方は多忙で、1日中走り回っているらしい。

 実習生は7時ごろに教頭から「帰りなさい」と言われるらしいけれど、先生方で帰る人はほとんどいないという。放課後は部活指導をして、6時に生徒の帰宅指導をしてから自分のクラスや教科の仕事をするらしい。

「11時にはみなさん帰宅してください」と教頭が朝礼で言ったりするらしいから、11時すぎまでかなりの教員が仕事していると思われる。中学というのは、一体、勤務時間というのはどうなっているのだろうか。資格を取ったとしても、娘には中学の教員にはなってもらいたくない、と思う>

 私が以前に勤務した三河の新設県立高校でも同様な状況があった。教頭が毎朝、職員朝礼で「○○さん、昨日は11時までごくろうさんでした」と必ず得意顔で報告する。それを聞いていて、当時まだ駆け出しの教員(31歳)だった私は、なんと熱心な教員がいるものだろうと感心した。

 ただ感心してばかりもられなかった。5時の勤務時間を過ぎてから、「今から指導部会を始めます。先生方集合して下さい」と放送が入る。指導部の私はいそいで会議室に駆けつけた。勤務時間などあってないようなもので、サービス残業の毎日だった。朝は早朝があり、部活動が終われば会議である。私は結婚したばかりで、まだ若かったが、この忙しさにはまいった。

 不思議なことに、多くの教員がこの忙しさを何とも思っていなかった。話を聞いてみると、学校から帰っても何もすることはないという。休日は競馬かパチンコくらい。読書の習慣もないようだ。そして半分の教員は独身だ。学校で寝泊まりしても平気だという。彼らは視野があまり広くなくて、社会問題にも人生問題にも関心が薄い。

 ただ、目の前の与えられた仕事をしゃにむにがんばる。だから、この高校の進学実績は抜群だった。東大、京大、名大、早稲田、慶応など名前の知れた大学に大量に合格者をだし、愛知県の新設高校の記録をぬりかえた。校長は古巣の県教委へ帰り、部長にまで栄進した。最後は時習館高校の校長になり、その前任者とおなじく教育長への最短距離についていたが、結局なれないまま退職して数年後、車にひかれて死んだ。

 校長の頭の中には立身出世と権力への渇望しかないようだった。そしてそのためにしゃにむに突き進み、私たちにも滅私奉公を要求する。上昇志向があり、滅私奉公が好きな人はいいが、私のような「自由人」にはたまらないことだった。私は最初の年から転勤希望を出し、二年間在職しただけで早々と夜間高校へ転勤した。

 世の中には「自由」よりも、お金や地位や名誉、権力を欲しがる人がいる。そうした人たちは、お金や権力をどうやったら手に入れられるか始終頭にあり、、そうした手段や技術、心構えを教えるところが学校だと思っている。私は「自由に適する人間」を育てることが教育だと考えていて、自分自身も「自由に適する人間」になりたいと思っている。

(近々、この時代の日記をこの日記帳に連載するつもりです)


橋本裕 |MAILHomePage

My追加